【読了】MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ

ここ最近MaaS関係の本を何冊か漁ってみているのですが、MaaSというもの自体が非常に社会へインパクトを与えるものであるという考えは一緒です。ただその実現される未来像は全然異なるものでした。

MaaSでは「CASE」という言葉が一つのキーワードとなります。CASE戦略とはConnected、Autonomous(自動運転)、Shared & Services、Electricの頭文字をとったもので、従来の車自体を販売するモデルからサービスやデータそのものに価値を見出しモビリティサービス全体で収益を生み出す事を言いますが、本書にしろ「モビリティ2.0 「スマホ化する自動車」の未来を読み解く」にしろ、次のようなサービスの実現の話になるような気がします。

  • 検索から予約、決済等、ウェブとモビリティがシームレスに繋がる世界
  • 日本の高齢化社会に着目したスマートモビリティの展開
  • データを活用した交通インフラ最適化
もちろん、とても現実的で今現在報道されているレベルの技術の直線的未来としては最適、そして数年のうちにある程度の実験結果または実際に実現すると思います。そしてCASE戦略と言う意味でもキレイな図だと思います。
特にウェブとモビリティがシームレスにつながる世界は部分的には出来始めており、この部分に関してはそれほど難しくはないでしょう。

ただ、個人的には最初に述べた通り全然違う世界を夢想していたりして、今回はその部分について述べたいと思います。
ハードウェア側や低レイヤー部分に関しては知識が殆ど無いので笑って流してもらいたいレベルではありますが、技術面でいくつか鍵となるものがあると感じています。

1. 座席認証と車内最適化
2. eSIM認証
3. Wi-Fi Mesh (802.11s)
4. Wi-Fi RTT(802.11mc)

1に関しては実はそれほど難しくないのかもしれませんが、現在ほとんどの人がスマートフォンを持っているため各座席にQi充電端末を設置し、座席ごとにそれを認証システムとして利用することでその座席に誰が座ったかを判定できます。

それが何に使えるかというと、何よりも一番重要なのは運転席です。
運転席で運転モードが人単位で管理できたり、何もスマートフォンが置かれなかった場合はGoogle ChromeのIncognitoモードのような人に紐付かない汎用設定として管理したりしても良いでしょう。
そしてもう一つ面白いと思っているものが車のナビゲーションシステムで、例えばある特定の場所まで行くのに電車と車を使うと行った場合、ナビを利用して電車を使いそのまま車のQi端末にスマートフォンを置いたら、そのナビ情報がそのまま車に受け渡せるとしたらどうでしょう?

ナビではなく音楽でも良いかもしれませんが、外で実行していたアプリをそのまま車と認証し、車のナビが切り替わったら結構面白いのではないかと思っています。
そして更に座席すべてにQi充電端末とプラス端末同士を同じネットワークに乗せられたとしたら、例えば後ろの座席に座っている人が目的地までのナビを表示したものを車の画面にCastする(AndroidのCastのようなイメージ)といったような事もできるでしょう。いずれは自動運転で無くなるかもしれないタクシーでもこれが出来れば、運転手は運転だけを行い、ナビは客側が持ってくるという事もできるでしょう。


2のeSIM認証機能について、既に存在しているのかどうか分からないのですが現状のスマートフォンのAPN接続あたりを考えると恐らく接続情報は全端末共通のように思えるため端末の電話番号もしくはSIMに書き込まれている何かの情報で認証をしているのでしょう。eSIMも同様な認証が出来るのかどうか、またはeSIMであるからこそ個別に認証情報を持っているのかは分かりませんが、おそらくどちらも技術的な解決は可能もしくは既に一般的に行われている事でしょう。

eSIMが今後どこまで流行るかは分かりませんがTOYOTA車には一部eSIMが入り始めているというニュースもありました。CASEのConnectedを実現する方法として現状でもキャリア回線を利用していると思いますが、グローバルに考えるとeSIMを共通で導入したほうが良いでしょう。

eSIMそれ自体、もしくはその上のアプリケーションレイヤで認証機能を持つことが出来れば認証情報を用いた決済等も可能となり、eSIM単位のsubscriptionが組めたり1のスマートフォン端末認証まわりと絡ませれば、ユーザ課金サービス展開も可能かもしれません。
何よりeSIMで認証しているのであれば高速道路のETCのような中距離通信システムを汎用化することでドライブスルーだったり駐車場の仕組みすら全く異なるものに出来るかもしれません。

ドライブスルーであれば決済の仕組みという意味だけでなく、アプリやウェブをIntentで起動させスマホ側で商品を選択して受け取るという行為だけにしたり、一気に出来るサービスの幅が広がる事が考えられます。


3のWi-Fi mesh(802.11s)機能はまたちょっと趣向が違うのですがGoogleやBuffaloなどが発売しているWi-Fiモデムに最近備えられるようになったWi-Fi mesh機能。まだ出てきたばかりですし仕様や何か詳しいというわけではないのですが。

バッファローのサイトから持ってきた絵がこちらで、このmesh機能が今後どういう方向へ進化するのかは分かりませんが、もし「親」機能を移譲できるとしたら面白いのではないか?と思っています。

親機としての機能が移譲できるとして、それを車に搭載できたとしたら…車1台1台が5Gなどで頑張って通信をしなくてもそのうちの1台が頑張れれば周りの車は通信を子機として恩恵を受けられるかもしれませんし、更にネットワークのアグリゲーションが出来れば5GとWi-Fi側をうまく掛け合わせられるかもしれません。

最近はWimaxとLTE回線のアグリゲーションができていますが、Wi-Fiでも5GHz帯とかであれば似たようなアグリゲーション機能は作れないのでしょうか。(最近5GHz帯の屋外利用って出来るようになりませんでしたっけ?)
もし各車でネットワークがmesh化出来るとしたら通信自体を最適化できるだけでなくトンネル内や渋滞でも通信できるかもしれません。ただ何より個人的にはモビリティが個別化、個人化していったとしても誰かと一緒に特定の場所へ向かうという行動が無くなる事はないと思いますので、そのグループで一つのmeshを組めると同一ネットワーク内で同じ音楽を聞いたり、ネットワークごしに会話をしたりといったことも結構楽に構築できるのではないか?と思ったりしなくもないのです。

かなり夢想が入り込んでいますが802.11sには結構期待をしていたりします。


4のWi-Fi RTTはAndroid9で入り始めた技術で、大手通信キャリアが3Gや4G回線を使って位置を特定するやり方をWi-fiの世界に持ち込んだものと理解しています。すなわちキャリアだと近くの3点の基地局位置情報を利用して個別の端末の位置をかなりの制度で推測するのと同様にWi-Fi3点から位置を割り出すという事で、これにより詳細な階情報プラスその階の中でも位置情報も正確に把握しようというもので、店舗側が屋内における商品場所ナビゲーションや特定の場所でクーポンを発行したりプッシュ通知などへ発展させることができ、ユーザ側にとってもトラッキングという脅威は残りつつも恩恵を受けることができるのではないかと思い期待をしている技術の一つでもあります。

これをMaaS側に持ってくると嬉しいのは車も階層が多い駐車スペースで適用できるだけでなく、車間の距離を正確に把握することができるようになり自動運転の最適化に寄与するのではないかと考えているからです。
映像を処理する必要もなく、前との距離、左側の距離、右側の距離、後ろの距離をそれぞれ計測してマージして計算して…といった処理を現状やって実現しようとしているのかは分かりませんが、そういった処理をある程度軽減出来るのではないかと思うわけです。


以上4つをあげましたが、これらを組み合わせてみたりするとサービスの幅は凄く増えると同時に車までGoogle化するのか…という気持ちもあったりしますが逆に言えば、いろいろ布石を打っているなぁと思わなくもありません。
もうここまで考えたら各車にKubernetes On-Premでも載せちゃえば?とか適当な事をつぶやいてみたり。

MaaSもIoTもホントに面白い世界なんだろうなぁ