[読了]オントロジ技術入門―ウェブオントロジとOWL-セマンティック技術シリーズ

この時期にこの本を読むか?という感じではありますがOWL自体にはあまり興味はなく、オントロジについて何冊か本を読んでおこうかなと思って買った一冊です。

結果的には意外と面白かったです。OWLの技術部分は現状schemaに置き換わっているためほぼ飛ばしていますが、最初と最後だけはじっくり読ませてもらいました。まだ理解が足りていない部分もあるのですが。

当時考えられていたウェブの世界で意味的な処理を実現させるために考えられたアーキテクチャというものの存在。この図の通り当時のオントロジ記述はXML、RDFの上に乗っかっているというものとなります。


この階層の中で上位の階層部分はちょっとメモをしておこうと思いますが

ロジック層 : オントロジ層の用語間の関係やカテゴリのモデルを規定するためのルールが定義されている統合論理基盤
プルーフ層 : ロジック層のロジックの正当性を管理する層
トラスト層 : 利用者の意図や信念に関係する

というものです。
本書では「オントロジ」という言葉の定義を「普遍性を有する概念を関係づける枠組み」と定義していますが、これはオントロジ概念がウェブに入り込み、歴史的、地域的、民族的、文化的、さらには個人的な差異によっても概念が変わってくるためです。

内容では個人的に最後の付章部分が一番面白くて、「物理現象の多くは数理によるオントロジ」としているあたりから。種々のパラメータを与えることによりその振る舞いを把握することが物理学では可能となっており、このような計算モデル自体がオントロジを形成すると言える。

しかしながら一方で自然言語は用語一つ一つに厳密・普遍的な定義というものは存在せず基本的に造語の集積であるためオントロジを形成するとは言い難い。主観を取り除くことができるのであればコンテキストによる依存性はなくなりオントロジを形成出来る可能性も出て来ると思いますが。

今現在ウェブ業界では行動分析など確率・統計的なアプローチにより数式化が絶えず行われている訳ですがこの部分について筆者はセマンティックウェブのプルーフ層やトラスト層に関係する問題として位置づけられるのかもしれないと述べています。
あいまいな情報を確立を用いて関係づけて得られる確信度といったパラメータには、個人を特定する信頼度も含まれるので、プルーフ層の概念を拡張して適用することが可能だからである
としています。妥当性は今後の課題としつつもこの話はウェブの集客やコンバージョン、離脱などを何らかの数式化しつつマーケティングを行うといったときのその数式自体がオントロジーと言えるのか否か。結局そのサービス単体にしか当てはまらないかもしれないし、ウェブリニューアルなどの何らかの施策によって大きく変わってしまうものなのであればオントロジを形成するとは言い難いわけですが、その追求は大いに意味のあるモノとなるでしょう。

最近よくmeta化meta化と言っているらしく、その言葉を発すると「でた!」と笑いながら反応されてしまっていますが、やっぱりオントロジーの形成という意味でも大事だなぁと思った次第w


[読了]超速! Webページ速度改善ガイド ── 使いやすさは「速さ」から始まる (WEB+DB PRESS plus)

Webページの高速化に関してはユーザ体験の側面でもコマース分野でも回遊でも重要な位置づけとなっています。Financial Timesも少しでも速度遅延の原因があるなら徹底的に取り除くべきとしています。

この本はインターネットの仕組みを知っていて、javascriptも読めれば普通に読むことが出来るものでちょうど今読む内容としては内容がトレンドを捉えていてちょうど良いのではないかと思います。2018年中に何が変わるかはわかりませんがGoogleが進めているClient Hintだったり、PWA周りがもっとpushされるかもしれません。

話は変わり普段からChromeのDev Toolsが便利だなーと思って利用していたものの、Performanceタブがここまで高機能だという認識がなかったので、まだまだ使いこなせていないんだなと思いました。

Chrome使いの方には本書はとても良い本ではないかと思います。
本書では

  • ネットワーク処理
  • レンダリング処理
  • スクリプト処理
の3つの内容について最新のWeb技術も交えながら見るべき・気づくべき・分析すべきポイントはどこかが完結にまとまっています。
僕はエンジニアではありませんのでフロントエンドエンジニアにとって、もしかするとそこまで真新しいものではないのかもしれません。僕が読んでも内容としては全体として知っているけど深く理解できていないという感じでしたので。でも非常に面白く読めました。

[メモ]
・First Paint : Webページの何らかが表示され始めたタイミング
・First Contentful Paint : コンテンツが表示されはじめたタイミング。(First Paintがとにかく何らかの表示があれば成立するのに対し、画像、テキストなどコンテンツになりえる要素の表示タイミング)
・First Meaningful Paint : ユーザに意味のある表示になったとき
・Time To Interactive : ユーザの操作に応答できるようになったとき

このFirst Meaningful Paintに関する定義が良くわかっていなかったのですが本書でも現状は曖昧な定義の上に成り立っていて今後に期待というニュアンスになっている。

[読了]デジタルマーケティングの教科書―5つの進化とフレームワーク

デジタルマーケティングとは何か。様々な会社でデジタルマーケティングを実行していると喧伝される一方でその定義、実行している内容はマチマチで本書に照らし合わせるならば完全に網羅しているとは言い難いものが散見される状況です。本書ではデジタルマーケティングについて
デジタルマーケティングとは、データドリブンでターゲット消費者へ製品やサービスを認知させ、消費者の購買前行動データに基づいて興味・関心・欲求を醸成し、購買データを取得する。購買データと購買後の消費者の評価データをもとに製品開発、サービス開発への示唆を得る。これらのデータを、ECチャネルとリアル店舗から取得し、同時に、消費者に最適な購買体験を提供する、一連の活動をいう。これらの活動の目標は、消費者との関係性を深め、最終的に消費者のエージェント(代理人)になることである」
と定義しポーターのマーケティングからデジタルマーケティングとは何か、その根幹となる技術、手法やその核となる部分は何かという点までを説明しています。従来のAIDMA、AISASといった認知させ購買プロセスへ入るという流れからデジタルへフィールドが移ることでZMOTなど、購買プロセスが大きく変化しました。

デジタルにおいては現状Cookie等の技術面で購買前、購買行為、購買後の「プロセス」データの取得が可能となりました。意思決定において本書では以下のように述べています。
購買意思決定をする際に、消費者は様々な情報を取得し比較検討するわけだが、①情報収集力の進化、②購買前の心理の変化と購買行動の即時性、③購買後の消費者の情報発信力の進化といった点で、消費者の購買意思決定のメカニズムは大きく変化してきている。
そのメカニズムの変化とそれを分析する能力がデジタルマーケティング分野では求められる事となります。
デジタルマーケティングにおける消費者「行動」理解ではデータ量の企業間格差は縮まるが、その取り扱い能力、言い換えれば、アナリティクス(分析力)で相当な企業間格差が生じる。
購買に至るまでのプロセス=購買前行動を分析し、仮説立て、さらにそれを検証することを重視し、より消費者との距離を縮めることで消費者がすぐにそのブランドを想起できる状態、すなわちエージェントとなり得るよう努める事が必要です。
デジタルマーケティングに取り組むということは、消費者行動データを取得し、そのビッグデータをAIで解析し、深い消費者理解と洞察を得る。そこから、ECチャネル、リアル店舗でシームレスな購買体験を提供し、消費者との絆を深めるということである。
本書ではEC、特に製造小売業(SPA)業態にとっては特に気づきの多いものではないかと思いますが、とても良い本だと思います。


[読了]「コト消費」の嘘

モノを売るのが難しくなったという文脈で「コト消費」がもてはやされた時期がありました。ただ商品という「モノ」と「コト」が完全に分離してしまい「コト」により人は集まったものの消費には一切結びつかないという事象も多くあります。

本書はそういった「コト消費」を批判しつつ新しく「ものがたり消費」を提案します。

個人的には基本的に著者の主観のみで、もちろん「ものがたり」の重要性は理解出来ますし「モノ」と「コト」がむび付かない事による失敗などの事例も理解できます。ただ売上も伴う成功事例とはいえ筆者の主観が全面に出ているなという印象です。

本書を読んで「コト」軸と「モノ」軸でサービスを客観的に評価することは出来ないだろうか?という疑問が生まれたのでこの点について少し自分なりに掘り下げたいと思いました。