インストラクションとはすなわち「教える」ということなのですが、人がほかの人に何かを教えたり、逆に教わったりすることは日常的に存在するわけですが、よく認識が食い違ったり、誤解を生んだり、インストラクション通りに相手が動いてくれなかったり、インストラクションとは異なる行動を発生させたりすることがあります。
そして、自身がインストラクションをする側であり、される側でもあることから、自分がインストラクションをする側としてどういう人間なのか、どういう癖があるのかを知ること、そして逆にインストラクションされる側としては、どういう人間で、どういう癖があるのかを知っておくことが重要です。
本書の中でワーマンはインストラクションには5つの要素があるといいます。
- 送り手
- 受け手
- 内容
- チャネル
- コンテクスト
送り手はインストラクションを作ります。それに対して受け手はインストラクションを受ける側なのですが、通常インストラクションに基づいて行動を行う人は、単なる実行者以上に行動的である人物、そしてその行動の中で様々な決定を行う必要があります。
また受け手は理解できない場合、送り手に対してその旨を伝える責任があります。
内容とはメッセージそのものを指すわけですが、その構成要素は6つあります。
- 使命
- 最終目的
- 手順
- 時間
- 予測
- 失敗
使命とは、すなわちWHYであり、そのインストラクションがなぜ与えられるのかを説明するもの」です。
最終目的はゴールで、手順は実際の指示内容、すなわちHOWやWHATに当たる部分となります。ただし、タスク型のインストラクションに関してはWHATが与えられることが多いのですが、目的型のインストラクションでは逆にWHATを与えることで受け手の行動に制限がかかることが多くなるため、具体的なWHATを与えることは避けるべきです。
時間とはすなわちそのインストラクションを実行するための予想時間で、これを伝えることによって、相手がインストラクション通りに実行できているのか、または間違った方向へ向かっているのかを認識できるようになる可能性があります。
予測とはインストラクション実行中に出くわすことが予想される事態のことで、失敗とは間違った場合に関する指摘です。
インストラクション要素の残りの部分で、チャネルはメッセージを伝える形式で口頭だったり、映像だったり絵だったりします。そしてコンテクストはインストラクションが投げ込まれる場面であり、すぐ周りの環境だけでなく、実行に伴う影響や、すべての関係者を取り巻く経済的・社会的状況をも含んでいます。
インストラクションを送ると、受け手はそれを翻訳し、解釈するわけですが、最も理想的なのはお互いにインストラクションが存在せず、常に理解しあっている状態です。即ち送り手が存在せず、内容・チャネル・コンテクストによって常に自立的にWhyを認識し、行動している状態を示します。
iPhoneではありませんが、一般的にプロダクトデザインやウェブデザインなど、「デザイナー」はその仕事によってインストラクションなしに、すなわち分厚い説明書なしにモノを理解してもらい、直感的に使えることを理想としています。そしてそれを日々追求する必要があるのです。
本書を読んでいて少し思ったのは、現在Amazonのようなシステムや分析が得意な企業サイトは別として、一般的なウェブサイトは情報をいかに整理をして見やすくするか、そしてデザイナーが一般的な記号やアイコンを用いて、いかにユーザーに直感的に利用してもらうかを追求しているわけですが、その情報の分類とは図書館の司書のようなものだったり、1冊の本のようなものだったり、すなわち目次や索引、インデックスなどが必要なやり方なわけで、WEBサイトがユーザーに対し適切なインストラクションを発生させているのかが重要となります。
またユーザーだけでなくサーチエンジンのbotに対しても同様で、機械に対しても正しいインストラクションが発生させているのかという点も合わせて考えなければなりません。
先ほどAmazonなどのシステムや分析に強い会社を別扱いしたのは、そのような企業は分類というよりも検索や関連性などの数字によって最適化しようとしていて、情報の見せ方に対する根本的な考え方が既に異なっていると考えているからです。
それが日本の企業が単純にAmazonのサイトデザインをパクっても成功しない秘密の一つで、もう一つ秘密をあげるとすれば2ピザチームというAmazon自身の組織体系にあるのは間違いありません。
話は戻りますが、日々存在している・・・というか人間対人間というのに拘らないのであれば、寝ている時以外は全ての時間において、インストラクションを送り、受けている訳ですが、自分のタイプを把握したうえで、良いインストラクションの送り手、そして受け手になりたいと思いました。
「インストラクション」。このテーマは誰も深く考えず、追求してこなかったテーマではないでしょうか。
でも、本書を読めば、非常に重要であることがわかります。
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