[読了]メディアはマッサージである

新装版 メディアはマッサージである賛否両論の多いマーシャル・マクルーハンの著書を読みましたが、非常に面白かったと思うと同時に、さらっと読めば1時間そこそこで読みきってしまう本書ですが、見開き2ページを読んでは自分なりに少しでも消化しようと妄想にふけるという読み方をしてしまいました。
それでも、未だに見開き2ページの内容を消化しきれずに、次のページへと進んだページもあったので、まだまだ考えが浅いと言わざるをえない状況です。

マクルーハンの「メディア論」を読んでから本書を読むべきだったのでしょうが、とりあえず私なりに思うところを書いてみようと思います。

まずは何と言っても文字の発明です。
文字が生み出されたことにより、学ぶ人は両親だけでなくインターネットの世界によって言葉の壁こそあれ、全人類から物事を学ぶことが出来るようになりました。

そして文字が生まれ、言葉が生まれたことによって分類やカテゴリが生まれました。また言葉によって仕事の効率化、単純化が起こると同時に、言葉を生み出す者によって言論の統制までが可能となりました。
即ち民主主義とはその言葉によりグループ化された集団の大きさの差であるとも言えるわけです。

また文字によって「パブリック」が生まれるとともに、物事が体系化されることによって教えるものと教わるものの立場が発生し、権威が発生したと考えられます。現在ではインターネットという電気的な世界によって時間の概念や空間の概念が薄くなり、その「パブリック」の程度は単純な印刷物という世界から更に広がりを見せており、その言葉や生み出したものを単純にコピーし、時間の概念を超えてリアルタイムに評価されることによって、その言葉を生み出した人物の「権利」というものが重要視され、その価値は増大する一方なのではないでしょうか。

物事の体系化や言葉による業務の効率化、単純化は連続した「直線」とマクルーハンは表現しているわけですが、これは言葉を中心とした世界において、直線を伸ばすにしろ向いている方角を変えるにしろ、過去の歴史を常に意識するものとなったと言えます。

また、その文字によって生み出された直線は教育の現場で、直線を持たぬ子どもへ教え、その直線を子どもが理解していき、完全にマスターした段階でプロフェッショナルと呼べるのです。

直線をマスターしたプロフェッショナルは、その直線を疑う事なく、その直線から反れることが難しくなります。大人は全員直線を教わりマスターした「プロフェッショナル」と表現しても良いと思われますが、その直線をマスターしたが故に思考の固定化、パターン化を引き起こしているのです。

その点でマクルーハンが「芸術」を評価する理由でもあるのですが、芸術とはその固定化した直線やパターンを否定すると同時に、自身の中で複数の違う方向を向いた直線または、全方位に向いた知覚を持って、それを自分なりに解釈して表現されるのです。

マクルーハンの芸術に対する評価とは、即ち現実世界を「知覚」する技術への評価であり、存在するかはわかりませんが、芸術に接点のない人に比べて全く「知覚」の範囲が異なるという点で重要視していると思われます。


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マーシャル・マクルーハン クエンティン・フィオーレ
河出書房新社
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