[読了]シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき

シンギュラリティは近い―人類が生命を超越するとき未来予測として過去にもインターネットの登場だけでなく、インテリジェントマシーンによる戦争など、数々の予測を立てて有名なレイ・カーツワイル氏の本です。

「シンギュラリティ」すなわち技術的特異点を指すわけですが、将来を予測するときに一般的には直線的な進化をベースに話を進めがちですが、実際には二次曲線的に進化は遂げています。それは本書の前半部分を読んでも明らかですが、ムーアの法則はじめ、数々の事例がそれを裏付けていると言えるでしょう。

レイ・カーツワイル氏は2020年代や30年代に何が起こるかというのも本書内で予測をしているわけですが、著者が近く起こるシンギュラリティは「GNRテクノロジー」が要になると主張しています。

GNRテクノロジーとは即ち
  • G  : 遺伝学
  • N  : ナノテクノロジー
  • R  : ロボット工学
です。
現在はロボット工学の分野を中心に人間の脳をリバースエンジニアリングして、実際に機能を研究し、特にスーパーコンピューター分野で人間の脳の10の16乗cpsや10の19乗cpsを超えるために量子コンピュータや分子コンピュータの研究が行われ、数値的には脳を超える演算能力を得ていることは間違いありません。

今後、より一般化・小型化し、誰もが安価で人間以上の性能を得られるようになるでしょう。

この分野は今は少し話題としては少なくなりましたが、「AI」としてよく知られています。コンピュータ科学者のエレイン・リッチによると、AIとは「現段階では人間のほうがうまくできることを、いかにコンピュータにさせるかという学問」のことであると定義されます。

「AI」の分野の中で最も研究が熱い分野は「意思決定ルールの体系化」でしょう。
過去の似たような出来事に基づいて将来の出来事が起きる確率を見定めようとする「ベイジアンネット」、ある複数の自称が一定の順序で起こりうる確率を測る方法を提示する「マルコフモデル」が特によくさかんで、それ以外に人間のニューロンとその接続を単純化したモデルを参考にしたニューラル・ネットや遺伝的または進化的アルゴリズムで有性生殖や変異などによる進化を模倣した「遺伝的アルゴリズム(GA)」などがあります。

AIや量子コンピュータはGoogleが昨今様々なベンチャー企業を買収したり、盛んに活動をしている印象です。最近で言うとガーディアンに「Google buys two more UK artificial intelligence startups」という記事が出ていたりします。

「現在」は人間一人一人のコンテキストを把握し、それをベースに「必要」と判断される情報の取捨選択、通知機能に対する取り組みに焦点があたっています。
また、WEB業界では人の「行動」やソーシャルメディアを通じた文字しか「見る」ことはできないため、その行動をベイズ統計などを利用して、次を予測しようとしていますが、その世界は現実的ではあるものの非常に狭く感じます。

これはある意味、インターネットにおけるウェブサイトの限界なのかもしれません。
IoTの世界の早期構築とデータの共有化、そして仕様の確定は常に検討し、参入できなければGoogleなどの検索エンジンによってウェブサイトが切り取られ、"適切な"ユーザーへ勝手に提示されるだけの存在となるでしょう。

一人ひとりの人間を行動によってグルーピング出来る能力は非常に重要ですが、その行動から少しでもズレた場合、それを統計的に稀だと判断するか、別のグループを構築するかは、端的に言えばその人の行動を左右したコンテキストを検知できなかったということを示すわけですが、もしかすると未来を左右するくらい重要な点を見逃していることになるかもしれないのです。

そう考えると、WEBサイトの意味合いや今後の方針を見直す必要が出てくるのかもしれません。
今インターネットは情報の構造化をより推進すること、そしてHTTP2.0やSPDY、Service Workerなどの技術によるWEBの高速化、通信分野でもLTEやその後の高速化と低価格化が急激に進んでいます。

その動きに付いていくためには、クラウドの利用は必須となっていくでしょう。
そしてAIを構築する上で、常に一人ひとりに対して次の行動を予測する"確率的"な考え方を持つと同時に、ベイズ的に過去にどのような行動をしたかに次の行動が影響されるため、履歴を保持しなければなりません。

インターネットの情報が単純に「タグ」や「カテゴリ」機能によってグルーピング化されたあと、行動によってユーザー一人一人がグルーピング化され、WEBサイトはある特定のサイトに緩やかに所属するだけであって、結局ページ単位で分離され、適切なユーザーへリーチする段階まで来ました。

情報を構造化すればするほど、結局IoTを握るGoogleが有利となり、WEBサイトへ訪問する意味を失っていく可能性があるわけですが、それを踏まえWEBサイト運営側は、どう立ち回っていくべきかを再度検討していく必要があると考えています。

もしかすると、WEBサイト自身にAIが宿るだけで、ユーザーの行動を常にWEBサイト自身が追って、統計処理し自動的にフォントサイズを変更したり、デザインの一部分を変更する可能性だって秘めているわけです。特にWEBコンポーネントが来年には花開くでしょうから、コンポーネントを利用した自動的な改善もAI的処理が可能になるかもしれないのです。
むしろそういったテクノロジを研究するほうが未来への近道なのかもしれません。

本書を読むと、ロボット工学などの発展だけでなくナノテクノロジー技術の発展も合わせれば寿命の長期化といったものだけではなく、人間自身または人間が身に着けているモノがエネルギーを消費する側から生産する側へ移動し、また可逆的プログラミングによってエネルギー消費を抑えるという未来にワクワク感を感じます。

もちろん本書ではマイナス面、リスク面にも触れています。
今現在の日本でも「遺伝子組み換え」食品に対する生理的な反発が法律を動かしている部分もあると思いますが、これは将来に対する不安が反映するものであるため、科学者サイドが適切に情報を提示していないだけだからかもしれませんが、今後はこのような生理的なブロックにより技術発達が停止、阻害されることも多くなるでしょう。

それは本書で予言する急速な二次関数的な進化に対し思い描く不安の現れなのかもしれません。

本書は私自身にとって、非常に難解な本だと感じ、読むのに時間がかかりすぎてしまいましたが、再度将来を見つめる良いきっかけとなりました。
単純にレイ・カーツワイル氏という名前から来る予測本という位置づけではなく、将来に振り回されることなく、次の一手をどこに置くかを考えるきっかけにすれば良いと思います。

さて、みなさんはどんな未来を予測し、どのように行動しますか?


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