読んでいると、広告コピーの話だけでなく、今ネイティブアドと呼んでいるものにも具体的に踏み込まれていることが分かります。
そして、本書全体の半分か3分の2程度はオグルヴィ自身の生い立ちと思想がつめ込まれていて、また読んでいて面白い。
結構特殊な人なのかな?と思いつつも、広告業界には居ない私自身にもとても役に立つ知識が多いと思いました。本書は広告業界の中の人として、クライアントへの要望をまとめている箇所もありますが、クライアントとして接する可能性のある立場としては、肝に銘じておく必要があると思ったりします。
幾つか気になる点をピックアップする形でまとめておこうと思いますが、オグルヴィの考える「優れた広告」としての考え方は
「広告自体に感心を集めることなく」商品を売る広告だと述べています。
単純にクライアントがOKと言った広告という訳でもなく、商品が売れて、かつ広告業界にも"見事な作品"として記憶されるものでもなく、あくまで広告自身は脇役に徹し、その商品そのものの良さ、そのブランドの価値を高めるものこそが良い広告であるという立場にいます。
これで言うと、広告業界の受賞作品というのはよく基準を知りませんが、例えば「私の年収・・・」的な広告とかは、逆に広告が主役になってしまっていると言えるのかもしれませんね。
次に気になった点としては、コピーとして消費者に何が刺さるかを調査するやり方で簡単にまとめると以下のようになる。(美顔クリームの例)
- 複数の消費者グループに、それぞれ異なる効能を付け、再注文件数を計測
- 効能をカードに書き、どれを見た時その商品を一番買いたくなるか選択させる
- 異なる効能をうたった「広告」を複数の消費者グループに送り、注文件数を計測
- 効能の部分だけが異なる1対の広告を新聞の同じ場所に載せて、サンプル請求数を計測
二つ目あたりは、今だったら「カードソーティング」あたりを使って、ユーザーに簡易的な調査を行っても良いかもしれませんね。
また、本書では"顧客に対する誠実さ"という思想も貫かれている訳ですが、「商品についての情報を与えれば与えるほど、売上が伸びる」と断言され、かつ広告においては「先に真実を述べる」ことが重要だと指摘しています。
次にコピーのなかでも最も重要なヘッドラインについては簡単にまとめると重要なポイントは下記となるでしょう。
- ターゲット顧客に最も響くポイントが入っていること
- 読む側の利益が書かれていること
- 新しい情報が入っていること
- 魔法の言葉が入っていること(※)
- ヘッドラインだけで何の広告か分かるようになっていること
- ヘッドラインからボディ・コピーを読みたくなるような好奇心をそそるものにすること
- 誰にでも伝わるような平易な言葉となっていること(気の利いた洒落や文学からの引用は不要)
- 否定形の言葉は使わないこと
- ヘッドラインだけ読むと意味不明な文章にはならないこと
※「〜になる方法」「突然」「今」「発表」「紹介」「これこそ」「とれたて」「大きな進歩」「向上」「驚くべき」「センセーショナル」「輝かしい」「革命的」「衝撃の」「奇跡」「マジック」「提供」「あっという間」「簡単」「求む」「挑戦」「〜へのアドバイス」「〜の真実」「〜に比べて」「バーゲン」「急いで」「ラストチャンス」
魔法の言葉なんかは本書では"侮るな"という感じで書かれてはいますが、なんか最近ヘンテコな煽り系ブログタイトルっぽいなーとか思ったり、思わなかったり。
そしてボディ・コピーに関しては、
ディナーパーティで隣りに座った女性に話しかけるように書くことと書いています。
広告はユーザー目線で書くとか、ユーザーに寄り添ってとかいろいろ言われますが、オグルヴィが最初にこの本を書いた60年台から既に語られている内容だったんですね。
そして、ハッとしたのが同じくボディ・コピーに関して、「コピーには常に推薦文をつけておくべきだ」という部分で、最近海外の新規サービスに関しては、その分野の有名人がTwitterなどでコメントを寄せていて、それが掲載されるのを見たりしますよね。
他にも例えばTechcrunchに掲載されたとか、どこかの主要メディアに掲載された場合にはそのロゴも出ていたりします。
この辺りはローンチしたサービスを早く拡散するためにはかなり重要だと言えるでしょう。そしてその推薦文を書いた人が、恐らくインターネットの世界で、かつその業界での著名な人に頼むのがインターネットにおけるサービスの展開としては非常に有益なのだろうと思います。
ここ数年で見始めた動きではありますが、オグルヴィの思想をインターネットの世界でどう体現するかを考えた結果なのでしょう。この辺りはとても勉強になります。
また同じくボディ・コピーに関して「読者に役立つアドバイスをする」ことも効果があると指摘しています。染み抜きをする商品を広告する上で「染み抜きの方法」を入れると。
これは完全にコンテンツマーケティングですよね。最近は主流になりました。
今で言うネイティブアドに関しても、このように書かれています。
広告は「いかにも広告らしく」見える必要はない。もし新聞記事のように見せることができれば、50%は読者が増えるはずだ。そして、そのネイティブアドに関するポイントも書かれています。
- ヘッドラインとボディ・コピーの間に2、3行のサブヘッドを入れること
- 最初のパラグラフは短めに
- 適宜小見出しを散りばめること
- ところどころに写真やイラストを入れること
- 矢印、黒丸、星印、欄外のマークなどを使って読みやすくすること
- コピーは白地に黒文字
- パラグラフ間には行間を入れること
インターネットで言うならば、「読む」ということに、とことん特化しているmediumの登場、そしてレスポンシブなどのWEBデザイン分野の流行りや廃りなどもあって、だいぶ「読ませる」ということに関してはだいぶ変わってきていると思っています。
デザイン会社が作るインタラクティブで派手なウェブサイトで楽しませるというのも良いかもしれませんが、ボディ・コピーとして広告が主役にならないためには「読ませる」ことにとことん拘っても良いかもしれませんね。
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