[読了]超・進化論 生命40億年 地球のルールに迫る

 NHKスペシャル取材班の執筆した「超・進化論」。これはダーウィンの進化論を否定するような内容ではなく、ダーウィンが明らかにした生物進化の物語の先に広がる、生き物たちの知られざる能力や多様な生命の共存を支える未知なる仕組みを描こうというプロジェクトとなっており、本書においては植物や昆虫、微生物の知られざる能力、共生関係などを通じ普段見たこともない、考えたこともない世界が描き出されています。

例えば植物に関していうと、害虫に襲われた際に特殊な化学物質を用いて害虫に対する天敵となる昆虫を引き寄せたり、害虫の危機を襲われている植物全体に伝えるだけでなく、まわりの植物にも伝達するというコミュニケーションをとっている事が紹介されています。

また的確に害虫が植物を食べる音に反応する事例もあり、率直にいえば植物における「記憶」は一体どこに蓄えられているんだろう?という疑問を感じずにはいられません。音のパターンをどうマッチングしているのか、今後の研究が楽しみでもあります。

他にも驚きだったのが植物が哺乳類と同様にカルシウムイオンを利用した情報伝達の仕組みを体内に持っているという点です。もちろん哺乳類のような伝達の速さはありませんが、哺乳類のような移動するからこその複雑な仕組みではなく単純な仕組みで動物と似たような構造を保有しているというのは驚きでした。

昆虫では飛翔や完全変態などにより進化してきた歴史や共生関係が描かれます。昆虫独特の飛翔の仕組みも面白いのですが完全変態としてサナギの中身が観察されている部分も面白い点でした。幼虫が蛹化した際に腸は再利用しつつ、まず飛翔筋を作り、内蔵を形成しつつ、羽化直前に成虫が完成する流れが観察されています。

我々哺乳類は筋肉を利用することにより強化、形成されるのに対して昆虫はサナギの中で強靭な飛翔筋を作り出す不思議な生き物でもあります。

最後の微生物には様々な可能性を感じずにはいられません。数が多く突然変異しやすいだけでなく、微生物同士での共生関係だけでなく哺乳類など全く別のものとも共生関係を築く。更には大気中にも存在し現地球環境を構築した(している)とも言えます。大気中には砂からミネラル分を抽出する微生物が存在したり、光合成を行うシアノバクテリアが存在するなど、微生物が生み出したミネラルが海を豊かにしている可能性も示されています。

最近ではプラスチックを分解できるようになった微生物の存在だけでなく、体内の大きめなガン細胞に対して効果を発揮する無害化されたクロストリジウム・ノヴィ菌というものも臨床試験が行われていたりします。クロストリジウム・ノヴィ菌でのガン完治は出来ないようですがガン細胞の縮小には効果を発揮しているなど、今後の研究に期待出来る内容となっていた。

免疫療法というと眉唾なイメージもあり、大学病院以外で話を聞くなら真っ先に否定したくもなりますが、本書の研究内容はとても信頼性がおけそうな気がしました。私達人間は抗生物質を利用して良い菌も悪い菌も全て殺すという方法に頼っていますが、微生物の研究が進めば新しい道が今後開けてくるのかもしれません。

もしかすると地球温暖化の二酸化炭素に対する課題だったり、レアアースに対する課題だったり紛争のタネとなるような事象に関しても微生物を今後研究することにより解決の糸口が見つかるのではないか?という期待も出てきます。

この進化に対する突然変異という点で、いつも思うのは人間でいう突然変異というのは遺伝子に起因した数々の疾病なのだろうか?と思う点です。その遺伝子異常の方の方が有利に生きられるとしたら、それ以外の人間はゆっくり淘汰されることになるだろうと思う。逆に様々な薬や手術によって、ほぼすべての人間が同一環境以外生存が不可能だとしたら、滅びる時は全員一緒なんでしょうね。コロナウイルスなどの蔓延もそうだし、一気に一つの種に広がって数を減らす。それもまた進化の中の一つの動きなのかもしれないなと思ったりしています。

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