Googleは人材という点では、「スマート・クリエイティブ」という人材を最も重視していることが分かります。
スマート・クリエイティブとは、
自分の〝商売道具〟を使いこなすための高度な専門知識を持っており、経験値も高い。私たちの業界ではコンピュータ科学者か、少なくとも日々コンピュータの画面上で起きている魔法の背後にあるシステムの理論や構造を理解している人材ということになる。と説明されています。
主な特徴としては
- 分析力を持つ
- ビジネス感覚を持つ
- 競争心がある
- ユーザーを理解している
- 好奇心旺盛
- 失敗を恐れない
- 自発的
- あらゆる可能性にオープン
- コミュニケーションが得意
- 細かい点まで注意が行き届く
一言でいうならば
努力をいとわず、これまでの常識的方法に疑問を持ち、新しいやり方を試すことに積極的であることだ。とされています。 そして、スマート・クリエイティブ型の人間は重要な訳ですが、中でもプロダクト・マネジャーに求められるのは、「プロダクトをさらに良くするための技術的ヒントを見つけること」だと説明されています。
Googleの場合、プロダクト・マネジャーはスマート・クリエイティブな人間しかなれないのかもしれません。
ここでいう「技術的ヒント」とは、その後述べられる「技術的アイディア」と同義だと思われますが、
技術的アイデアとは、大幅なコストダウンにつながったり、プロダクトの機能や使い勝手を何倍も高めたりするような、新たな技術の活用法やデザインのことだ。そこから誕生するプロダクトは、競合品と比べて本質的に優れている。その差は歴然としていて、マーケティングの努力などしなくても、消費者はすぐにそのプロダクトがほかのどのプロダクトとも違うことに気づく。と説明しています。そうGoogleも「10倍良い」という事にこだわっているのです。
ラリー・ページの口癖「その10倍スケールで考えろ」とは、本書では車の例が出ていましたが、例えばリッター20キロ走れる車を30キロにするのは、大変かもしれませんが漸進的イノベーションで達成できるでしょう。でも200キロ走れる車を作ると考えたら、従来型のアプローチでは達成できず、考え方を根本から破壊して1から作り直す必要があるのです。
本書ではこの部分に関し、次のように書かれています。
この「どうやってゼロからつくり直そうか?」という思考プロセスが、これまで誰もが検討しなかったようなアイデアを生み出すのだ。フューチャリストのレイ・カーツワイル氏も、我々人間が未来を直線的に考えがちだと指摘しています。本当は二次曲線的に進んでいるにも関わらず。
Googleの考えるイノベーションとは「新しく、意外性があり、劇的に有用なものでなければならない。」と説明されています。
Googleではリソースの70%をコアビジネスに、20%を成長プロダクトに、10%を新規プロジェクトに充てるとしているのですが、本書を読むとなぜ福利厚生面を手厚くしているかの理由にも納得出来る部分があると思うと同時に、実際20%の部分が本来休日である土日祝日にこなす社員が存在することを考えれば、100%コアビジネス、プラス20%を成長プロダクトに時間が割かれているとも言えます。
また、社員個々人の評価には「OKR」という指標を使っており、「個々の社員の目標(Objectives、達成すべき戦略的目標)と主要な結果(Key Results、その目標の達成度を示す客観的指標)」の2軸を用いているようです。
客観的に明確で具体的な数値目標だけでなく、全てが100%達成している状態は所謂「発想が小さい」状態を示すだけなので良しとはされていないのです。
その他デモデーの存在や、1つの質問で人を見抜くという方法はハッとさせられることが多いです。
一方でスマート・クリエイティブな人間は会社を去る事も多いわけですが、必要に応じて新たな刺激や知識に触れさせるために役員を中心に実施されている会議へ出席させたり、新しいポジションを作ったりもしているようです。
「グーグルで大切なのは〝何がデキるか〟であって、〝どんなヤツか〟ではない」所謂、権威のある人間に従うHIPPOを否定し、ヒエラルキー構造を否定し、フラットな構造を維持するやり方はAmazonの2 Pizza Teamと同様に徹底された企業構造となっています。
新しく入ってきた人にとっては、どの部署で何が開発されているのかが分かりにくいカオスな状態となりますが、それがまた面白いイノベーションを生み出すのも事実なのです。
日本でよくある、「プロダクト」を見れば社内の部署間の力関係が見える状態を否定する。
これも考えれば直ぐに分かる事ですが、本書を読んでいて「なるほど」と思いました。iPhoneを手にとってみろと。。。そうすればAppleが一番重要視している人物が誰であるか分かるだろ?そう「顧客であるユーザー自身である」と。
プロダクトを一目見ただけで、社内のヒエラルキー構造や部門間の対立、またはステークホルダー重視の構造などが見透かされるようなものは、全くもってプロダクトとしては論外である訳です。
Googleは圧倒的にサービスで優位であれば、時には有料でサービスを提供することもありますが、基本的にはオープン思考であるわけですが、この部分に関しては
オープンな世界では、すでに他の人が完了した仕事をやり直す必要がなくなり、誰もが新たな発明を生み出してシステム全体を前進させることに集中できるため、イノベーションが大いに促進される。
クローズ・システムでもこれほど強烈なインパクトを発揮できるプロダクトがあるなら、挑戦してもいいだろう。だがそうではない場合、初期設定はオープンにしたほうがいい。などと書いています。
クローズという意味ではAppleやFacebookなどは代表的なサービス事例だと思いますが、AppleのiPhoneの場合は、他社がiPhoneを自由に作れない分、Appleはゼッタイに失敗できないというプレッシャーを背負っていると同時に、一度でもユーザーを裏切ることができない状態を作り出しています。そういう点ではAppleの素晴らしさも分かると同時に、脆い側面も見えてくる気がします。
久しぶりにKindleでここまでハイライト線を引いたなと自分でも思うくらい、色々と得るものがありました。Googleの社風として有名な事も沢山書かれていますが。
最近のGoogleを取り巻く状況を少し考えてみると、2015年、2016年はプロダクトのGoogle検索離れが大幅に加速します。
FirefoxがデフォルトGoogle検索を止め、Appleが2015年でデフォルトGoogle検索を止め、代わりとなるのがYahoo検索だったりYandex系列だったり、様々な動きがありますが、私個人的にはGoogle検索というものを考える良いキッカケになりました。
Googleはあくまで知識・情報を整理するという側面では抜きん出ているものがあると思っていますが、例えばコマース分野だけに特化した場合、「検索」というものをより良くすることは可能なのでしょうか?
複数社から提供されているAPIを、同じデータであれば1本に束ねることで何かメリットは生み出すことは出来るのでしょうか?
複数のAPIの中でユーザー行動を予測できるようなコンテキストと成り得るものは無いのでしょうか?
色々と考えてみると、もしかするとGoogle検索を抜いて圧倒的に有用なサービスを立ち上げることも可能なのかもしれない・・・などと少し想像をしたりしてみました。
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