[読了]ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?

ソニーはなぜ不動産業を始めたのか? 「公平性」「合理性」「高品質」の3つの基本理念をもとに日本の不動産市場へと乗り出したソニー不動産。

この本を読むまでは、「不動産」というものに対してネガティブなイメージしかなく、また本書内で紹介されている"現状の"不動産取引を見ていても、やはり情報の非対称性を利用した不透明な業界なんだなと、さらに確信しました。

今回ソニー不動産が顧客に対して「感動価値」をどう提供するかを徹底して考え、「消費者目線」と自社の「価値提供能力」を掛けあわせた強みを見出し、それを武器に業界へ切り込んでいく姿は素晴らしいと感じます。

また、企画からサービス開始までの期間が短いということは、当たり前なのかもしれませんが不動産の「売り手」と「買い手」双方に対するメリットを1企業でどう実現できるか?という点を徹底して考えた結果なのだろうと思います。

ソニー不動産が買収した「不動産仲介透明化フォーラム」という会社の事業戦略や運営方法にもヒントがあったのかもしれませんが、起業当初から複数の立場の人に対して事業を展開する、そしてその立場が全く正反対に対立する立場にある状況を、1企業で提供するというのは大変苦労があったのではないかなと思ったりしました。

最終的にはソニー全体の企業グループでの相乗効果を目指すことになりますが、これは楽天でいうポイント経済圏的な、お金の経済圏とは全く反対に体験を軸とした経済圏といいますか、フルライフサポートという点でとても新しい考え方になるかもしれません。
とはいえ、ソニーのような大企業だからこその競争戦略であるとは思いますが。

起業する際に「Full Life Case Use」ということで、ある特定のサービスで起業する場合、そのサービスを事業として、どのようなタイミングで購入されるのか?とか、どういう人が購入してくれるのか?とか、複数の質問によって事業の対象となる顧客や属性を特定するような考え方があります。
恐らくUX的に言えばCustomer Journey Map(CJM)的なものだと言えるかもしれませんが、ソニーグループ全体でCJMを作り出し、一つの経済圏を創りだす凄さという意味では、今後も目を離せません。

東京オリンピック前に一つの成果が見えてくるようですが、やはりソニーグループ1社で経済圏を創りだすということは、ソニー製品を持っていること自体がステータスとなることだったり、デザインのカッコよさなどのブランド力が命になってくるかもしれませんね。

どちらにしろ、ソニーという冠だけでなく「不動産」という言葉自体への印象が日本全体で変わり、一気に突き抜けた存在になるのかもしれないなと予感させる本でした。


ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?
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