寝る前に何度か聞いてみて「戦争」というものへの感想というよりは、タイトルが「野ばら」というのは秀逸だなと思いました。国境を守る小国の若い兵と大国の老兵、お互いの警戒状態を解いたのは「野ばら」が一役買っているような気がします。
何もない場所で一株の「野ばら」がハチを引き寄せる事で二人の生活リズムが同調し、同じタイミングで起き、同じタイミングで小川で顔を洗う事で関係がほぐれ、二人で昼頃から将棋を打つようになると。
最初に聞いた時、なぜかバラの色を勘違いしていたのですが途中で「白いバラ」であると描写されます。なぜ白なんだろう。
後半戦争により若い兵が亡くなってしまうのですが、夢の中で若い兵は一軍率いています。このあたりは将棋が絡んで聞こえます。最初は知識のなかった将棋を老兵から教わり、ついには老兵の王将を追い詰めるに至る。ここで戦略を獲得したのではないかなと。
若い兵が戦争に出発する直前、老兵が若い兵に対して"「少佐」である自分の首を持っていけば出世するぞ"という旨を申し出て、若い兵が断る部分があるのですが、そんな事をせずとも若い兵は戦場で戦果をあげ一軍を率いる事ができていたと。
もちろんこの描写は老兵の夢の中の話なので実際どうだったのかは誰にも分からないのですが、夢の中での若い兵の黙礼には老兵への感謝の念があると感じました。またお互いを引き合わせた「野ばら」に対する敬意と、毎日のリズムとしての「野ばら」の懐かしさ。それが夢の中で若い兵が「野ばら」の匂いを嗅ぐ仕草に現れたような気がします。
小国が大国に戦争で破れ、国境を守る必要がなくなった老兵はかねての願いであった家へ戻ることが出来た訳ですが、この手前で「野ばら」は枯れています。この「野ばら」、もしかすると若い兵と老兵がいた頃は丸一日ハチが居た訳ではないのかもしれません。丸一日ハチが最初から居たのかもしれません。ただ若い兵がいなくなってからのハチの音というのは何か物悲しい印象があります。
0 コメント:
コメントを投稿