[読了]フレームワークで人は動く 「変革のプロ」が使いこなす18の武器

フレームワークで人は動く 「変革のプロ」が使いこなす18の武器フレームワークを紹介する本です。
一般的に業務やタスクなど、競合分析を含め手を動かすフレームワークを紹介する本が多いのに対して、この本ではコミュニケーション系のフレームワークという、人と人の関係性やプロジェクトを推進する過程で発生する軋轢などを最小限にしながらやり遂げるかという点も書かれている点は新しいのではないでしょうか?

本書の最後にも書かれていますが、フレームワークは知っているだけではダメで、その場その場でどのフレームワークを利用すれば現状を良くすることが出来るのか、そして避けられないリスクにも対処することができるのかを瞬時に判断して、実行していくことが重要となります。

その意味では、本書を知って「ふーん」と終わらせることなく、「そういえば、こんなフレームワークがあったな」と思い出して利用し、自分の中で成功体験を積み重ねながら進んでいかなければなりませんね。

[読了]心を動かすデザインの秘密 認知心理学から見る新しいデザイン学

心を動かすデザインの秘密 認知心理学から見る新しいデザイン学認知心理学、即ち人間の知覚や認知される現象の学問的な紹介、そして本書では主にアート的な意味で使われている「デザイン」、その間にノーマンやニールセンが提唱する概念を紹介しつつ、新たな「認知デザイン学」という分野を提唱している本です。

ギブソン的なアフォーダンスの説明からノーマンのアフォーダンス概念、そしてシグニフィアの紹介も完結にされており、初めてその概念に触れる人にも優しい内容になっていました。

ノーマンの人工物デザインの評価に関するデザイン理論としての「本能」「行動」「内省」という3つの概念については、恥ずかしながら知りませんでした。

  1. 美観や欲求のような、人間の基本的・生理的な水準で評価される本能レベルのデザイン
  2. 機能や使いやすさといった行動レベルのデザイン(アフォーダンス)
  3. 高次の認知過程である人間の思考や理解など、人工物に与える意味や人工物との「付き合い」に代表される内省レベルに関わるデザイン
の3つです。
この辺りはノーマンの「人を賢くする道具―ソフト・テクノロジーの心理学」という本で詳しく書かれているみたいですね。

ただ、本書を読んだだけだと、この内省レベルのデザインが、イマイチ理解できませんでした。本書の内容を簡単に言うならばデザイン評価は「アート」としての評価、「アフォーダンス」としての評価、「経験価値」としての評価の3軸という感じです。

3つ目の「経験価値」に関しては、そのモノを利用することによって生まれる物語、思い出、結びつきといった内省を伴う評価と説明されていますが、そうなるとデザイン評価としては人によってブレてしまうし、デザインとして評価するために使用期間のような「時間軸」が大切になってきてしまう事も考えられます。

また本書では「ユーザが人工物に対して自ら働きかけることに寄って生成される価値を含んだ、インタラクティブな視座に立っている」とも説明されていることから、旧来のノーマン的アフォーダンス、即ち過去の経験などに引きずられて、そのプロダクトからもたらされる一つの「意味」を評価するものとは対立する概念ではないかとも思うのです。

もう少し突っ込むと、旧来のノーマン的アフォーダンスの概念と「経験価値」の2つを合わせると、"それって結局ギブソン的なアフォーダンスじゃね?"と思うわけです(笑

まぁギブソン的な「知覚」というより「体験」とそれに伴う「感性」も含むと理解して、敢えてそのまま触れないで3つあるんだという理解でも良いのかもしれませんが。

本書では「人間中心設計」についても触れられていますが、そのデメリットとして新しいモノが生まれにくいという性質にも言及されています。
この辺りは今までも「そうなるよね」と理解されていることではありますが、MITメディアラボの伊藤穰一さんの話を聞いた感じだと、プログラマ的に理詰めで考えるよりもアーティスト的な考え方を取り入れないと飛躍することは難しいのかな?と考えていたりします。

AR三兄弟の川田さん的に言えば「順番工学」的な思考をしている限りは従来の経験やスキーマ、メンタルモデルから脱却することはできず、逆に「順番美学」的な思考を取り入れることによって、新しい枠組みへ脱せられるのかもしれません。

あと本書を読んでいて一つ感じたのは、昨今ウェブ業界でUXがひたすら叫ばれ、人間中心設計が大切だと説かれることが多い訳ですが、HCDとしてデザイナーやプログラマー、プランナーなどが皆集ってUXについて議論している様子は、ベルガンティが提唱する「デザイン・ディスコース」そのものだなと思うと同時に、アーティストを工学的な分野へと引きずり込む場になっていないかな?と思ったりしました。

本書ではハードウェア的なデザインや体験価値について様々に書かれているため、ソフトウェア、特にウェブについて考えた場合、それは実はデザイナーを工学へ引き込む事しか出来ていないのかも?と思ってしまいました。

組織論やプロジェクト進行的には正しいあり方なのかもしれませんが。
何か本書を読んでいて、モヤモヤするものが残る結果となりました。

[読了]「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記

「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記本書は2部構成で、前半が「裏を知る」編としてChikirinブログの歴史と自分メディアをどのように作っていったのか、そしてその日記を中心として周りで発生したイベントなどが纏められていて、Chikirinがどのように考え、行動しているのかが分かるようになっています。

後半は「表を知る」ということで、過去のChikirin日記からChikirinを理解できると思われる日記が抜粋されています。

この前半が「裏」、後半が「表」という何気ない構成も面白いと思ったのですが、もともと「裏を知る」編は電子書籍だったのですね。
Amazonで見かけて購入したので、電子本は存在しないと思っていました。もしかすると、電子本は期間限定で公開されていたりしたのかもしれませんが。

Chikirin日記に関してだけでなく、どのブログに関しても、熱心な購読をしないタイプなので、「表を知る」で紹介されていた日記も、読んだことがあるものと読んだことがないものが混ざっていました。

個人的には常にウェブ内のコンテンツはゆるく著者だったり、そのWEBサイトというものに所属はするものの、結局インターネットの世界ではそんな所属情報は昔のブログにおける「タグ」くらいの意味合いでしかなく、コンテンツそのものはインターネットに漂っているようなものだと思っているからです。

もちろん、RSSリーダーなどに登録されているという意味では購読しているのかもしれませんが、僕個人はRSSはWEBサイトのホワイトリストのような存在で、自分が知りたい事は自分が登録しているRSSのサイトの中に答えがあることが多いだろうという想定のもと登録されていたりします。

なので、未読がいくらあろうが、それほど気にしていなかったりします。
とはいえ、Chikirinさんのブログはハッとさせられることも多く、普段使っていなかった部分の脳に刺激が加わる感じで好きですね。

情報のアウトプットに関しては、個人的には反省しないといけないなと感じつつ、結構面白く読むことができました。

[読了]Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルール (Make: Japan Books)

Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルール (Make: Japan Books)Makerの流れに興味を持ち始めたのは3年ほど前になりますが、その前後から各種3Dプリンタが登場し、リアルタイムに人をスキャンしてミニチュアモデルを作ったり、最近では料理もプリントしたり、家のパーツを作って組み立ててみたりと様々な使い方がされはじめたりしています。

今年、面白いなと思ったのがiPhone6用のケース「GRIPPI」ですよね。
もともと3Dプリンタで作ったものがネットで話題になって商品化されたという。

こういう動きが日本で生まれて、凄く面白いなと思った記憶があります。

本書を読んでいて、確かにかつてソフトウェア側で起きていたことがハードウェア側に今起きているんだということを認識できました。それは「無料化」「低価格化」ですね。
ハードウェアもより安く、よりパワフルに、簡単に使えるようになりました。そして、それにともなってイノベーション自体の低価格化も起こっているのです。

ソフトウェアの世界でも、簡単で良いのでプロトタイプを作ることによって説得力が増すように、ハードウェアも素材や機材が低価格化したことによって、プロトタイプを作り、実際に動いている様子を動画などで公開することで、例えばKickstarterやIndigogoなどで資金が集まってきたり、実際にビジネスとしてスタートができたりしている現状があります。

スマートフォンでのカード決済を提供するSquareもその一つ。
プロトタイプ無しでのプレゼンテーションで、一度は投資を断られているという事実は本書で初めて知りました。

日本ではFablabはじめ、物を作ることが出来る共有スペースが実は沢山散らばっていたりします。
私自身、かなり不器用なのでプラモデルレベルでもかなり怪しい訳ですが、何か機械を使うための講座とかに出席するところから接し始めたいと読みながら思いました。

最近は本書でも少しだけ触れられていますが、MITなどでSynthetic Biologyなど、分子とナノテクノロジーの分野が融合し、しかもその新しい分子が自宅の台所レベルの環境で作れてしまうという世界になりました。
もちろん専門の機材が必要な実験の方が多いのでしょうけど。

ハードウェアで構築するよりも、既に存在する分子や微生物をそのまま利用するほうがコストが低いというパターンも出始めているようです。
実際に安くなった機材を使ってモノを作る世界や、実際の微生物を利用して新しい生命構造を作る世界、本当にMakerの流れも一気に進んできていると思います。
Etsyの存在も大きいのかもしれませんが。

逆にこのハードウェア的な流れに対するソフトウェアの進化が今後どう進んでいくのかという事にも非常に興味をそそられます。
ハードウェアの基盤を支えているのはソフトウェアなのですから。
ハードの要求とソフトへの要求。次の世界をどのように作り上げていくか、そして自分がその世界にどう関わっていくのかを再度考える必要がありますね。


[読了]ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?

ソニーはなぜ不動産業を始めたのか? 「公平性」「合理性」「高品質」の3つの基本理念をもとに日本の不動産市場へと乗り出したソニー不動産。

この本を読むまでは、「不動産」というものに対してネガティブなイメージしかなく、また本書内で紹介されている"現状の"不動産取引を見ていても、やはり情報の非対称性を利用した不透明な業界なんだなと、さらに確信しました。

今回ソニー不動産が顧客に対して「感動価値」をどう提供するかを徹底して考え、「消費者目線」と自社の「価値提供能力」を掛けあわせた強みを見出し、それを武器に業界へ切り込んでいく姿は素晴らしいと感じます。

また、企画からサービス開始までの期間が短いということは、当たり前なのかもしれませんが不動産の「売り手」と「買い手」双方に対するメリットを1企業でどう実現できるか?という点を徹底して考えた結果なのだろうと思います。

ソニー不動産が買収した「不動産仲介透明化フォーラム」という会社の事業戦略や運営方法にもヒントがあったのかもしれませんが、起業当初から複数の立場の人に対して事業を展開する、そしてその立場が全く正反対に対立する立場にある状況を、1企業で提供するというのは大変苦労があったのではないかなと思ったりしました。

最終的にはソニー全体の企業グループでの相乗効果を目指すことになりますが、これは楽天でいうポイント経済圏的な、お金の経済圏とは全く反対に体験を軸とした経済圏といいますか、フルライフサポートという点でとても新しい考え方になるかもしれません。
とはいえ、ソニーのような大企業だからこその競争戦略であるとは思いますが。

起業する際に「Full Life Case Use」ということで、ある特定のサービスで起業する場合、そのサービスを事業として、どのようなタイミングで購入されるのか?とか、どういう人が購入してくれるのか?とか、複数の質問によって事業の対象となる顧客や属性を特定するような考え方があります。
恐らくUX的に言えばCustomer Journey Map(CJM)的なものだと言えるかもしれませんが、ソニーグループ全体でCJMを作り出し、一つの経済圏を創りだす凄さという意味では、今後も目を離せません。

東京オリンピック前に一つの成果が見えてくるようですが、やはりソニーグループ1社で経済圏を創りだすということは、ソニー製品を持っていること自体がステータスとなることだったり、デザインのカッコよさなどのブランド力が命になってくるかもしれませんね。

どちらにしろ、ソニーという冠だけでなく「不動産」という言葉自体への印象が日本全体で変わり、一気に突き抜けた存在になるのかもしれないなと予感させる本でした。


ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?
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[読了]電通デザイントーク Vol.2

電通デザイントーク Vol.2電通デザイントークのvol.1は読んだことなかったのですが、パッと見て面白そうだったので即買してみましたが、凄く面白かった。

特にAR三兄弟の川田さんの回。
AR三兄弟は名前は前から知っていましたが、特に気にとめていませんでした。今回この本で面白さを知って本当に良かった。

まず面白いと思ったのが、「順番工学」「順番美学」。この言葉は今後使わせてもらおうかなと思います。クリエイター的に「僕の頭にある世界はこの順番で読ませたい」という考え方が「順番美学」、それに対して「こういう順番のほうが伝わらないですか?」と考えていくのが「順番工学」です。

プログラミングは「順番工学」が徹底していて、その順序を逆転したりすることはできません。また編集者やプランニングする人も徹底的に工学的な考え方をしていくわけですが、だからといって「順番美学」が不必要というわけではなく、工学系の人は美学を、美学系の人には工学に触れることで、一つのアイディアが無限に膨らむ可能性があります。
どっちが正しいという問題ではないのです。

最近に始まったことではありませんが、結構思考が凝り固まりがちなので、美学系の理解を少しは深めたいところです(苦笑

そして、次にヒットしたのが「プレゼンのために物事を考えるのではなく、自分が良いなと思ったものを勝手に作ってみる。クライアントありきで考えるより、「この技術はあれに生かせるよな」って順番のほうが絶対に面白いものになります」という部分。

川田さん自身、普段から引き出しを沢山作っていく人のようですが、普段から仕事と直接は関係ないものも自分が良いと思うのであれば勝手に作ってみると。
これは全くダメですね。プログラマーではありませんが、日常の仕事自体が目的化して、その目的を達成することのみに集中しがちです。

昔のGoogleの2割の自由時間という部分に精通するものですが、自分が良いと感じているならば、企画してみたり、プログラマーに相談してみたりと、新しい行動を起こすべきでしょう。

東京オリンピック絡みの話も興味深いですが、「広告を作るために過去の広告を参考にする」という行動パターン、僕もよくやってしまいます。
確かにこの行動って過去の記憶やプロダクトにアンカーされてしまって、そこから大きく外れることが出来なくなるんですよね。

この辺りはWEBの新しい技術なんかを見ながら、「これいいね!」と思った時には、その技術にアンカーされてしまっている可能性が高いという意味では、非常に危険なのかもしれません。
過去の同じものではなく、日常生活で「面白い!」と感じたものを起点にして考える事は、確かに重要だなと今更ながらに感じた次第です。

電通デザイントーク Vol.2
小山薫堂 齋藤精一 川田十夢 中村勇吾 澤本嘉光 阿部光史 飯田昭雄
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[読了]ITナビゲーター2015年版

ITナビゲーター2015年版毎年全体が俯瞰できるという目的でNRIが発行しているITナビゲーターを購入していますが、今年はKindleで購入。

特におもしろいという本ではありませんが、NRIが実施している調査だったり、2020年までの推移をグラフで見れるので、現時点におけるデータと今後の伸び率を見ながら、次の5年を考えてみるのもよいでしょう。

最近はテレビやISPあたりの動きが全然わからなかったので、読んでみて、その辺りの現状を何となく理解できたという点では良かったなと思いました。
ビッグデータまわりに関してはやっぱり個人情報やプライバシーの取り扱い方だよなといった感じで、日常的に触れている情報に関しては、特段真新しさはありませんでした。

今年の10月くらいの内容も登場したりと、結構ギリギリまで本の内容が調整されていて、1冊読めば最新の情報まで分かる、毎年出している良い本だと思います。