[読了]シリアル・イノベーター ─ 「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀
数々の成功事例が紹介されてはいますが、今でこそ「成功」体験として語られるわけで、且つ本書を読む限り、その「シリアル・イノベーター」の行動こそが正しく、会社(上司)の判断は間違いだと言えるように書かれてはいますが、例えば市場で大成功を収めている時点で、その現商品を否定する商品開発を行う事というのは、大変な社内政治力も必要であることは間違いありません。
社内の人との関係性の構築も大変です。本書ではシリアル・イノベーターはその能力も必要だという話になるのですが。
また、シリアル・イノベーターの特徴として紹介されているものの中に「システム思考」という言葉が登場します。
これは「個々の事象に目を奪われずに、各要素の関連性に注目して全体像を捉えようとする思考方法」として紹介されていますが、通常のイノベーション本では、この部分が特にクローズアップされ、「Heterogeneous」「交差的イノベーション」「拡散的(発散的)思考」などと言葉が変わることがあります。
イノベーションを起こす人には「必須」といっても過言ではない能力だということですね。
そして性格として「最善をつくすことに道徳的責任を感じる」と書かれているとおり、現状で大ヒットしているとか、売上の効率が高いということよりも、人々が課題を感じているのであれば、それを改善すべきと常に考えているようでせう。
モチベーションとしても「未解決の課題に取り組みたい」という欲求と、それに対して「課題を解決した時に生じる達成感」という内的要因が組み合わさる事で、特に強い内発的な動機付けが生まれていると考えられます。
また、皆が仕事をしながら学び続け、知識領域を拡大する事に努めている訳ですが、これも「システム思考」に繋がるものなので、そういう思考も頷けます。
常に課題の発見や把握をとことん行い、必要であれば顧客に直接聞いたり徹底して調査を行いながら、その課題に対する課題という「点」を見つけていき、繋ぎあわせ、解決策を開発・発見し、更にチームを編成し、市場で普及するよう最後まで努力するという、本書を読んでいると"自分はそんな存在になることは出来るのだろうか?"などと考えながら、自分の足りていない部分も発見しながら読んでいました。
[読了]ビジネス・クリエーション! ---アイデアや技術から新しい製品・サービスを創る24ステップ
「キャズム」だったり最近の「リーン」の概念、「ビジネスモデル・キャンバス」など、数々の名著がありますが、それら概念的なものを実践として、そして且つ新しいビジネスを立ち上げ、成功するにはどう考え、何を分析し、どう戦略立てて進んでいけばよいか。
それが1冊にまとまっている良書です。
本書では大きく以下の6つのテーマで考えを進めます。
- 顧客は誰か?
- 顧客のために何が出来るか?
- 顧客はどうやって製品を手に入れるか?
- 製品からどうやって収益を上げるか?
- どのように製品を設計するべきか?
- どのように事業を拡大すればいいか?
そして、その中に細かいステップを設けることで、全24ステップで成功へと導きます。
本として素晴らしいのですが、24ステップだと1つ1つが非常に短くなりがちで、もっと分厚くても良いので詳しく内容を吟味しながら読みたいなと思いましたが、構成としては当たり前かもしれませんが、前半のステップに力が大きく割かれています。
そこを間違えると成功はあり得ません。市場規模や競合の有無も含め、本当にキャッシュ・フローを生む事にも重点がおかれています。
ぜひもう一度読みたい本です。
ぜひもう一度読みたい本です。
[読了]UNIXという考え方―その設計思想と哲学
ちゃんと理解できたかどうかは別として、Gitとかも思想が好きです。所謂"ナレッジ"に対してのアプローチと似ていて、情報をどう整理するか、巨大なコミュニティで大勢の人がどう関わって、どう新しいものを作っていくのか。
一言でいうならば「コラボレーションワーク」ですね。
そこに対するアプローチの方法を学ぶうえで、システムの思想的な部分は有益だと感じることがあります。
単純なシステム思考というだけではなく。
本書から学ぶことは多かったわけですが、丁度いまの時期(シンギュラリティ)という話でいうなれば、「システムはデータを生み出さない」「システムはフィルタである」という主張に関して、AIはどうアプローチするのだろうか・・・と思いました。
常にInputのデータがあって、そのデータをクレンジングするにしろ、整形するにしろ、システムが0から1を生み出すということはないということです。
ソフトバンクのPepperが、なるべく人から情報を得ようという意図でロボットのデザインなどが考えられていますが、それは自発的に情報を創りだしてはいないかもしれませんが、人に情報を創りださせる雰囲気を作り上げているという意味では、もしかするとシステムがデータを生み出し始めているといえるのかもしれません。
外界の温度データや圧力データ、方角などの磁気系データなどは、システムが生み出しているとは言えるのでしょうか?本書的には生み出していないという考え方なのかもしれませんので、そう考えると、ロボットが人に情報を提供するような雰囲気を作り上げたとしても、それは情報を作っていないという理解になりますが。
その他、次に気に入ったのは、プログラムを小さく保つ事の重要性ですね。
UNIXが未来を未来志向であるという理由はこの辺りにありますが、処理効率よりも移植性を重視し、次から次へと出てくる新しい概念にもすぐに対応できるようになっている事。実際Windowsやその他OSだけでなく、WEBプログラミング言語系がUNIXに近い思想で作られているのかどうかと言われると、違うと思いますが、出来ればUNIXに近い思想の言語を勉強したいと感じました。
「マーケティング」にも通じる思想もUNIXのベースとなる思想にあって、顧客にカスタマイズ性を提供することで、顧客が自分が使いやすいカスタムを行う。そしてその結果、そのサービスから離れなくなるというものです。
WEBディレクションの過程で、サービスだったりWEBデザインだったりのワイヤーを考えるうえで、時々こういう機能を取り入れようと思うことがあります。
そういう意味においても、やっぱりシステムの思想をちゃんと考えることって重要なんだなと思ったりしました。
[読了]ひらめきはカオスから生まれる
常にビジネス領域で研究されている「イノベーション」。
本書では「イノベーション」は「カオス」が効果的な役割を果たすと主張しています。本書で言う「カオス」は単純な「ものごとが制御出来ない状態」という意味で使われていますが、様々な過去の事例を通じて、組織における「カオス」の導入方法を導いています。
それは3つのキーワード、「余白」「異分子」「計画されたセレンディピティ」です。
「余白」とは働き詰めの状態や予め定められた計画だけに縛られるのではなく、ちょっとした休憩だったり、休みを取得するといった「余白」を指します。
もちろん、単純に休んでいるだけで学びの時間や、考えている時間もない人が「余白」のみを取得しても全く意味はありません。
次に「異分子」。ここは最近良く言われるheterogeniusや、交差的イノベーションなどといったものと同様の意味合いです。
最後に「計画されたセレンディピティ」は「余白」や「異分子」から生み出されたカオスの方向性をある程度コントロールすることで、ひらめきが生まれる確率を高める事を指します。
その根拠は過去の様々な事例だけから導き出されたのではありません。
人間は何か作業をしていたり、考え事や読書をしている時には、もちろん脳を利用しているわけですが、全く作業をしていない時にも脳は活発に活動している事が分かっており、本書ではそれを「デフォルト・モード・ネットワーク」と言っていますが、それを大いに働かせることによって、驚くべき発見の瞬間が訪れると述べています。
過去の事例はその「デフォルト・モード・ネットワーク」から生まれたものも多いのです。
[読了]CEOからDEOへ - 「デザインするリーダー」になる方法
DEOは
- 変化を起こす
- リスクを冒す
- システム思考をする
- 直感力が高い
- 社会的知性が高い
- さっさとやる
といった特徴を持ち、環境の変化に適用する柔軟な会社を運営し、常に進化する会社を作り上げる。人と繋がりを持ち、失敗から学び、常に新しい経験を積む。
そんな、これからの会社におけるリーダー像を探っている本で、例となるDEO達へのインタビューなど、とても面白い本の構成になっています。
[読了]「売る」広告[新訳]
それは「ある広告人の告白[新版] 」の中で具体的な広告に関する技法や注意点は「「売る」広告[新訳] 」でも網羅されていることと、オグルヴィの思想もしっかりと入っており、かつオグルヴィが手がけてきた広告がカラーで見れるからです。
別に無駄だと言っているわけではありませんが、「ある広告人の告白[新版] 」にあるオグルヴィの生い立ち的な部分は一切入っていません。
そして、ジャンルによって細かく章が分かれているのが何より嬉しい。DMについてオグルヴィは何がポイントだと書いていたかな?とか思った時にサッと調べられるので、机に1冊おいておきたくなる本でした。
昨日と一緒で今回も少し気になったポイントをメモしておきたいと思います。
オグルヴィは広告に関して「ビッグアイディア」がなければ、誰にも気づかれることも無いと主張しつつ、その「ビッグアイディア」を判断するコツは以下のポイントだと言っています。
- 初めて目にした時、息を飲んだか?
- 自分が考えついたのなら良かったのに、と思うか?
- 独創的か?
- 戦略に完璧に合っているか?
- 30年使い続けられるか?
この辺りにもオグルヴィ自身の思想がにじみ出ているなと感じます。
また、「知識を追い求めよ」ということで、常に広告担当者は勉強することが必要であると説いていますが、次のような質問を仕事熱心な社員へしたそうです。
たとえば、今夜君が胆嚢摘出手術を受けなければならないとする。君なら、解剖学の本を何冊か読んで、胆嚢がどこにあるか知っている外科医に手術してもらいたいか、それとも直感だけに頼る外科医がいいかね?どうしてうちのクライアントは、何百万ドルもの金を君の直感にかけなきゃならないのかね?ごもっともですが、普段の仕事について、例えば英語が必要だということが"分かっている"にも関わらず、なんで勉強をしていないんですか?とか、統計学の知識が必要だと"分かっている"のに、なんで勉強をしていないんですか?とかに置き換えてみると、自分の今の仕事の範囲としてベースとなる知識が無いのに避けてはいまいか?と、グサグサ刺さってくる部分があります。。。
そして、これはオグルヴィの言葉ではないのですが、ソヴィエト政府の公式な広告に対する見解として
わがソヴィエトにおける広告の役割は、人民に販売される品物についての正確な知識を与え、新しい需要の創出に寄与し、新しい好みや要求を育み、新しい種類の品物の販売を促進し、またその使い方を消費者に説明することであるという「広告」に関する説明は美しいですね。
同時にオグルヴィが広告に関して説明する「必要だと思ってもらうために全力をつくすこと」という部分ともつながるものが感じられます。
その他、人材やオグルヴィ自身の思想がだいぶ入り込んでいる良書でした。