[読了]これからの「売れるしくみ」のつくり方 SP出身の僕が訪ねた、つくり手と売り手と買い手がつながる現場

これからの「売れるしくみ」のつくり方 SP出身の僕が訪ねた、つくり手と売り手と買い手がつながる現場「広告」や「コミュニケーション」、そのベースとなる概念は変わらないにしても手法や技術は常に変化しております。

本書では筆者の所属する「博報堂ケトル」での手法や考え方を一望し、「博報堂ケトル」がなぜそのような組織体となったのか、あるいはならざるを得なかったのか、という部分も実際の成功ケースを通して見ると何となく理解できる。そんな本のように感じました。

タイトルにあるように「売る」というゴールに対して成功しているパターンを紐解きながら、売れるために必要な要素を"自転車を漕ぐ"という擬似的な絵を使いつつ説明をしていきます。

ちょっと不思議だなと思う図もありますが、各成功事例において共通なものは「共感」かな?と思いました。

まだちょっと雑な状態ではありますが、例えばヴィレッジヴァンガードさんの例。


田之上さんという方が起点となり、田之上さんとスタッフで思想が共有されており心的距離もかなり近いと思われます。
そしてスタッフが売り場を自由に作るわけですが、その上での「スタッフ」と「卸し」との距離感と、「卸し」と「メーカー」の距離感は等距離なのではないかな?と思ったりします。「アーティスト」側との距離はもう少し近いのかもしれませんが、最終的に「売り手」の作った世界観に対する共感が「売れる!」に繋がるのかな?と。

そういう意味では、少し図の位置に違和感があったりしますが自転車の駆動部分をベースに図が描かれているのでしょうがないのかな?とも思いつつ。(問題はそこじゃないw

「売れる」という部分に対するアプローチとして、確かに成功事例ごとに様々なアプローチをしてはいますが、もう少しmeta的に一旦俯瞰してみるのも良いのかなと思ったりしました。

本書内で「デザイン思考」という言葉が一回だけ出てきますが、売れるまでのストーリーを作ったり、多面的に買い手側へメッセージを伝える部分は非常にサービスデザイン的で良いなと思うと同時に、デザイン思考では「売る」という部分に対するアプローチが「Hopefully」(売れたら良いな)に偏りすぎているのかもしれない…と少し思ったりしました。

確かにデザイン思考でタッチポイントを考えたり、ユーザストーリーを考えたり、インタラクションデザインを考えたりと様々検討はしているものの、僕が深く勉強していないだけかもしれませんが主体的に「売る」というアクティブな部分については、あまり考慮されていないような気が少ししてきました。その気づきが得られただけでも凄く良かったですね。個人的には。


[読了]分類脳で地アタマが良くなる 頭の中にタンスの引き出しを作りましょう

分類脳で地アタマが良くなる 頭の中にタンスの引き出しを作りましょう「分類」というのは無意識に皆行っている行為です。
「分類」とは「似て非なるものの違いや差に気づいて、分けること」と説明されていますが、分類しているからこそ●と■の違いを識別できたり、好き嫌いを言えたりする訳です。

「分類」はheterogeniusとも関係が深くて、分類するということは特徴量を掴んで、その特徴をもとに共通なものを一つのグループ化できるということです。

普段ビジネスではロジカルにロジカルにと考えますが、アイディアを出すとかそういった視点では逆にこの「分類」の考え方が重要になってきます。

「分類をすることで、基準や尺度が明確になる」と石黒さんが述べている通り、分類を意識的に行うとその物事に対する基準や尺度が生まれてきます。
一度その尺度を作っておくと、次回からは瞬時に物事を判断できるようになり、また似たような内容から全く別の事象に対しても応用することができるようになります。

そういう意味において、「分類とは、ロジックでクールに考えること。エモーションはむしろ排除すべき」という書き方をしています。

ビジネスの現場ではWHAT、HOW、WHYあたりを中心に考えロジカルに物事を考えます。
本書ではWHATとHOWの間に「分類」が入っているような図が出てきていましたが、普段ゴール側から考えていたので、ちょっとアプローチを変えなければならないなと思うと同時に、本書で「分類」自体誰もがやっていることだと言われてしまうと"意識的な分類"ってなんだっけ?と読みながら時々感じたりしました。

早速といいますか、新しいビジネス案件が多いので「分類」という概念を挟みながら検討をしていき、意識的な分類行為に慣れていこうと思います。


分類脳で地アタマが良くなる 頭の中にタンスの引き出しを作りましょう
石黒 謙吾
KADOKAWA/角川マガジンズ (2015-09-18)
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[読了]稼げる記憶術

稼げる記憶術 (アスカビジネス)私自身、記憶力がないと錯覚している張本人ではあるわけですが…記憶に関するイロハがかかれており、非常に具体的、記憶に関するメカニズムだけでなく、ビジネスに直結する記憶という側面に重きをおいて書かれています。

いつも本は読んでも、その時自分がハッと思ったり、本との対話という意味で何か考えた事だけが頭に残る、そして別にそれでイイやと思ってはいたりしますが、本を要約してみたり、すぐに知識として取り出せるほうが良いものも有ります。

記憶するということは記憶を整理するということにほかなりませんが、本書では

  • グループ化、階層化
  • 順序化
  • 図解化、図表化
など、記憶術については基礎知識として提示しているわけですが、そんなの知っているよという人も多いでしょう。

重きが置かれているビジネス面に関しては、この記憶術の「グループ化」だとか、「図解化」だとかいう明示はありませんが、人の名前を覚えるという部分では図解化を駆使していたり、プレゼンでは順序かと図解化、図表化を組み合わせて使っていたりと結局応用をしているということに気づきます。

まだ1回サラッと読んだだけではありますが、今日からでも使える知識が詰まっており、ビジネスにおけるシーン別にパラっとめくってアドバイスをもらうという逆引き的な使い方も出来る良い本だと思います。

本のタイトルは非常に怪しげではありますが。

稼げる記憶術 (アスカビジネス)
矢沢 大輔
明日香出版社
売り上げランキング: 14,059

[読了]IoTビジネスモデル革命

IoTビジネスモデル革命IoT/IoEがここ数年騒がれるようになり、様々なコンセプト商品が登場し、その一部は実際に販売もされ始めています。必然的にビッグデータと同じ議論で話題になることも多く各社がこの分野にいち早く参入し、リードしたいという思惑が見え隠れします。

本書では小林さんらしくマクルーハンの言葉が引用されていますが、私達は過去または現在に囚われがちで、to beという未来視点で物事を見る事が難しい生き物です。

そのため「ある行為のどこに注目し、どのようなデータを集めるのかは、なかなか難しい問題」であり、更に「それをどう加工することで、どのような情報が生まれるのかを考えることで、IoTシステムは思いがけない広がりを持つことになる」のです。
新サービスを立ち上げる時に同時に解析設計として「何のデータを取得すべきか」をいくら検討しても漏れが発生してしまいます。

また仮に様々なデータを取得出来るといった場合、そのデータから予測・最適化を行う作業を行うという局面ではデータは巨大化しやすい事からIoT / IoEは「ビッグデータ」と一緒の文脈で語られることも多いわけですが、to be視点で最初から「どのような情報」を取得するとどのような事象に対して予測・最適化が可能となるのか、最終的にユーザの生活・行動等の改善に繋がるのかが予測出来ている事が望まれたりしますが、それも非常に難しいと言わざるを得ません。

現在議論されているIoT / IoEの文脈は単純なInputとそのデータを途中クレンジングする処理は入るかもしれませんが、基本的には直接Outputする形が殆どのように感じています。これはIf This Then Thatの形式ですね。センサー等から情報を受けてそれをウェブやスマートフォンで見れたりと非常に単純なプロダクトが多いと感じます。


もちろん、この単純なInputとOutputだけで生まれる価値も沢山あるでしょうが、今後はもう少し様々分岐したり必要なデータを組み合わせて価値を生むというパターンが増えていくと思います。このあたりについては色々と考えてみたのですが、ハードとソフトの両方の知識があるととても良いような気がしたりしています。

図ではManageと書いてしまいましたが、InputのManageではなく受け取った情報を組み合わせて新しい価値をOutputするような…。なんて書けば良いんでしょうね。


ハード面でのON/OFFというインタラクションが即座にソフトウェアの0 / 1に頭のなかで変換出来るとか、圧力を例えば0 -> 100の尺度で表せるとか、そういうハードとソフトがくっついて知識として存在していること、そしてソフトウェアのLoop文やCase分岐などの知識があることで、例えばドアの解錠例にもある通り、インクリメントした数字が奇数だったら解錠、偶数だったら施錠みたいな実にコンパクトなシステムをつくり上げることも出来るのです。

そういう意味でハード的な知識とソフト的な知識が両方ある方がサービス展開としては強いのではないかと思ったりしています。本書内での山手線トレインネットの仕組みは本当に面白いですね。
調べたことは無かったものの電車の回生ブレーキシステムをそのままソフト側で「混雑率」としてデータを利用すると。これこそまさにハードとソフトが組み合わさりソフト面ではユーザが「欲しい」と思われるようなOutputの仕方だなと思ってしまいました。

さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法
また本書内で登場する解錠・施錠のようなドアの例が登場するわけですが、「Akerun」の具体例を見ていて咄嗟に「さよなら、インタフェース」という本を思い出し、"なんでスマートフォンの画面操作が必要なの?"と思いました。

Akerunについては本書で初めて知ったので認識が違うのかもしれませんが、ドアの解錠・施錠操作にスマートフォンが必要な理由は何か?という点については「さよなら、インタフェース」で具体的に指摘されているわけですが、ユーザ操作は不要なのではないかと思うのです。

サービス思想としてユーザ側で作業しなくてもコンテキスト情報などを使って自動化出来るものは完全に自動化し、インタフェース自体を無くす事を目指すという考え方が「さよなら、インタフェース」の主張であるわけで、尽くインターフェースを無くせと書かれている訳ではないのですが、この考え方はとても重要なのではないかと思っています。

スマートフォン操作というタッチポイントが無くなると、ブランディングという意味では厳しいのかもしれませんが、UX観点ではこのアプローチがとても良いと思います。

即ち、スマートフォンとドアの鍵がBluethoothやWifiなどで通信することによって解錠/施錠処理がプロセスとして完結可能であるならば、ユーザがスマートフォンを立ち上げてアプリを立ち上げた後にボタンを押すみたいな「作業」は一切無くすべきだという思想です。

例えばAndroidだとこの「Tasker」というアプリがあります。実はこのアプリを使って少しずつ擬似的にNo Interface化していたりします。

私の登録例を一部紹介すると、自宅にいるときにつかむ携帯会社アクセスポイントをTaskerに登録しておき(自動検出してくれます)、そのアクセスポイントに接続したらWifiを自動的にONにするように設定してあります。

即ち、自宅に近づいた時点まではWifiはOFFの状態ですが数百メートルまで近づくとWifiの設定が自動的にONになります。さらにWifiがONの状態で自宅のWifiを掴んだら「自宅にいる」と判定し、着信音量設定がバイブレーションモードから音声ONに切り替わリます。

これと同じようにコンテキスト情報をうまく利用することで自動化出来るものって身の回りに沢山ありますよね?
IoT / IoEではそのような世界が望まれるのではないのでしょうか?1社のアプリでは難しい気もしているので本当はPlatform側がそういう連携の仕組みを推進すべきではないかと思ったりしますが。

また本書ではカーシェアリングサービスについても書かれており、その部分でも少し気になる部分がありました。
サービス利用ユーザが車を返却時にガソリンを全く入れなかった…などのマイナス面については次に利用するユーザが前のユーザを評価し、ポイントを下げたり上げたり~という仕組みの部分です。

最初はOnline上における人の評価という意味で若干"ソーシャルDRMっぽいしイイかも!"と思ったのですが、なぜ利用ユーザへデメリットを押し付けるのでしょうかと直ぐに思いとどまりました。
もちろん車メーカーとの交渉なども必要な産業のようなので、そういうサービスに留まっているのかもしれません。

システム思考をはじめてみよう
でも個人的には「即時フィードバック」を上手く使うべきだと思うのです。

例えば人は水道を使っている時にリアルタイムで水道料金をデジタルで表示してあげると節水を心がけるようになるでしょうし、電気も室内にコントロールパネル的なものを配置し利用料金をリアルタイムに表示してあげると節電を心がけるでしょう。

今は電力会社社員しか見ないということで電気メータもイケていないデザインで何十年と変化がありませんが、インテリアの一部のようなおしゃれなデザインで部屋に持ち込む事で節電も心がけるでしょう。他にも「即時フィードバック」により行動を改善するという実例は沢山あります。

カーシェアリングサービスに関して"車内を汚した"とかの評価に関しては「即時フィードバック」は無理かもしれませんが、ガソリンを入れる入れないという部分や運転の荒さなどに関しては即時フィードバックしながら、その場でポイントが見えたりなどを行うと、利用者自身の行動が変わったりすることはあると思うのです。

もっと言えばレンタルする時間が事前に分かっており、かつ車のGPSデータも分かると思うので、レンタル残り時間が短いとか、カーナビの設定場所としてレンタルサービススポットが設定されたとか、車の位置とスポットとの距離が移動によって継続的に短くなっているなどの情報を活用することで、自動的にガソリンスタンドがカーナビの寄る場所としてセットされて誘導されたり、音声アナウンスされたりと色んなサービス展開が出来るはずだと思ったりします。

即時フィードバックという視点では、そういうハード的なサービスではなく「ウェブサービス」を考えた場合も非常に少ないと思う事があります。ビッグデータとして企業に蓄えるという議論は多いのに、閲覧ユーザの行動からリアルタイムにコンテンツを変えていくような。いや、AdobeとかCXENSEとかもそうなのかな?実際あるにはあるけど少なすぎる。少なくともGoogleはやっていないような気がします。

またサードレール問題である個人情報・プライバシーに関しても少し言及しておきたいと思いますが、IoT / IoE分野について今議論されているようなサービスでは「情報コントロール」の主導権がユーザに無いことこそが問題だと常々考えています。

企業側として全ての情報を取得したいという気持ちはもちろん分かりますが、現状の企業はユーザを見ていないとしか思えません。

以下簡易的に描いた図はフワッとしてしまっておりますが、例えば病気の情報などのセンシティブ情報に関してはデバイスとユーザだけで共有され、企業側のDBには蓄積されないというデバイスからの即時フィードバックのみに止め、行動情報などはビッグデータとしてサーバに蓄積するなど、情報レベルによって保持する場所や扱い方を制御出来ないかと思っていたりします。


もちろん端末データ破損や端末自体の紛失でデータが全て失われる事で提供サービス自体の価値が失われてしまうという問題はあるでしょうが、現在個人情報を気にしてユーザが企業に提供したくないという事だけで、そういうセンシティブ情報を元にしたサービスが全く生まれないという環境もどうかと思ったりします。

様々なインセンティブを見せることで提供を促すという現在行われているような努力を企業が一生懸命継続するというのも分からなくもないですが…。
また公共的な意味で、提供される情報によって犯罪が未然に防げたり、何かの役に立つのであればそれを明示すれば提供する人は多くなると思いますので、センシティブ情報でも取得したい場合はそういう用途をどんどん開示すべきなのでしょう。

情報を提示することで「広告が最適化されます!」とか、そういった内容だと個人的に広告は基本的にブロックしたい立場なので全く提供したくなかったりします(苦笑

UNIXという考え方―その設計思想と哲学
情報を提供することによる「パーソナライゼーション」的なサービス展開もあるとは思いますが、ユーザ固有のページや見せ方の話をするときにいつも思い出すのが「UNIXという考え方」ですね。

UNIX文化の一つとして「好みに応じて自分で環境を調整できるようにする」という思想が書かれています。その内容は「UNIXのユーザーは、自分の思いどおりに環境を手直しすることを好む。UNIXアプリケーションの多くは、その対話スタイルの選択についてユーザー に広い自由度を与えている。」と説明されています。

一般的に議論される「パーソナライゼーション」は自分で環境を調整するという能動的なものではないかもしれませんが、"カスタマイズされた環境"という意味では同一のような気もしますし、その環境がユーザにとって有益なものであればユーザがそのサービスから離れ難くなる可能性があると思います。

UNIX思想のようにユーザ側で設定を変更することでカスタマイズ出来るという方が良いのかもしれませんが、そのようなカスタマイズというのは今のウェブサービスとしては時代と逆行しているのかもしれません。その辺りはバランスなのかもしれませんが。

色々と読んでいてあーだこーだと考えを巡らせてきましたが、本書を読んでいると自社サービスについて色々と新しいサービスを思いつくこともあるでしょう。
Akerun」の方のInterviewにあったように「マスト・ハブ(絶対に必要なもの)」と「ナイス・トゥ・ハブ(あればうれしいもの)」という意味では今現在のIoT / IoE分野で登場するサービスは後者の方が圧倒的に多いと思いますが、前者側のサービスを提供するにはどうすればよいのか、もう一度考えていく必要がありますね。

※そういえば802.11ah HaLowの名称も正式に決定となり今後省電力でのWifiというものも一気に広がっていきそうですね


IoTビジネスモデル革命
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小林啓倫
朝日新聞出版
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[読了]システム思考をはじめてみよう

システム思考をはじめてみようドネラ・H・メドウズのエッセイ集です。
Amazon的にはあまり評価は高くないようですが個人的には一つ一つのエッセイ自体が短く、通勤時にちょっとめくってみるなんかしてみると良いのではないかと思います。

特に最初の2つ

  • お互いと競うのはやめて、クマに立ち向かおう
  • 成功者はさらに成功する
という部分に惹かれました。

確かに競合だけを見て、それよりいち早く最先端の技術を取り込んでコスト全体を安くしようと考えているだけで物事の本質は全く無視している事ってあるよねとか、ニュースを見ていて自分が支払う税金が上がったりすると脊髄反射的に「反対!」と言ってしまう事もあるだろうしねと。

この本は本当に軽いエッセイ集なので、向き不向きはとてもあるみたいです。


システム思考をはじめてみよう
ドネラ・H・メドウズ Donella H. Meadows
英治出版 (2015-12-08)
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[読了]錯覚の法則~成功者は脳をあっさりその気にさせる

錯覚の法則~成功者は脳をあっさりその気にさせる~本書で初めて得られる知識というものは特にありませんでした・・・
結構ありきたりな事を書きなぐっているような印象ですが、個人的には苦手な部類で本を読んでも本との対話が全く生まれない、考えさせられることがない本でございました。

[読了]水平思考の世界

水平思考の世界水平思考、それはロジカルシンキングを補完する思考で、特に新しいアイディアを生み出す時などによく話題にあがる内容です。

論理的思考というのは、一つ穴を掘り始めたらそれをひたすら掘り進める、穴を拡張する、穴を修正するという作業を繰り返しながら問題解決に導きますが、水平思考は全くそう言うものではありません。しかしながら、無秩序を指し示すわけでもありません。

論理的思考というのは狭い言い方をすれば「固定概念」と言っても良いかもしれませんが、人は"慣れた"思考法や学んできた従来の考え方を踏襲します。それは現教育の結果かもしれません。

また時系列的には過去を引きずって、直近上手くいったやり方をそのまま当て込んでみようとしたり、何か定義された言葉を与えられた瞬間、その物事がその言葉に束縛される。そんなこともあるでしょう。

面白いなと思ったのは、言葉で束縛された(言葉の硬直性)ものをグラフや絵など、ビジュアル化することで硬直性を打開出来るという内容です。

読み始める前は、「Heterogeneous」「交差的イノベーション」「拡散的(発散的)思考」と同列の「水平思考」というものを考えていましたが、やや異なる部分もあって、少し新鮮な感じがしました。

重なる部分としては、何か問題を考える場合にその問題を構成する「特徴」をつかむ事が重要であるということです。それは個々の事象にとらわれて論理的に考えているだけでは解決策が生み出されず、「特徴」や「要素」を捉えることで全く違う分野の考え方が応用出来るということが発生します。

「特徴」の抽出さえ出来ていれば、全く関係無いと思われていた分野の人との世間話からでもハッとさせられること、応用可能なものというのはあるでしょう。

本書では直接的に述べられてはいませんが、所謂オズボーンのチェックリストは有効そうです。(当たり前かw
強制発想法的な概念ではありますが、マンダラート的な概念やネガティブを抽出してから強制的に真逆のアイディアを考える…など、そういうものも非常に有効でしょう。

もう一つ面白いなと思ったのは、本書ではサラッと書かれていますが
確立されたアイディアを念頭に置いて集められた情報は、そのアイディアを裏付けるものばかりになりやすい
という部分です。
これよく言われますよね。

で、この文の手前で「セレンディピティ」について言及がされているわけですが、ウェブサービスでも「セレンディピティ」を発生させる、提供するということで例えば「レコメンド」システムを作ってユーザに見せたりするわけです。

この「レコメンド」というシステム、ユーザの行動やインタレスト、年齢層とか様々な軸で提供されるわけですが、立ち止まって考えてみるとウェブ上での「行動」は皆ロジカルだよなと。
とはいえ、本当に「特徴」を踏まえて自動車に関する本を探している人に、将棋の本がレコメンドされた際、ユーザが「関係している!」とピンとくるかと言うと全くそんなことは無いのですがw

読んでいてふと考えた程度ではあるのですが、「ウェブ上の行動はロジカルだ」という事が認識出来ただけでも良かったかなと思います。(当たり前かもしれませんが…


水平思考の世界
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[読了]間違いだらけのビジネス戦略

間違いだらけのビジネス戦略ウェブのビジネスジャーナルに投稿された記事をまとめた本だということもありますが、一つ一つの話題が非常に簡潔にまとまっていて、サクサクと事例を読むことが出来る一方で、各記事は賞味期限が短めなのかもしれません。

大塚家具とかベネッセ、キリン・サントリーまわりの話など、今読むと少し懐かしいなと感じたりします。
そういう部分は、筆者の山田氏の意見や分析視点を興味深く拝見し、その会社について今後より興味を持ってニュースを見ることができるなと思ったりしました。

[読了]快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)神経科学者の解説する「快感」に関する脳科学書ですが、これは面白いですね。脳科学に関する現状の実験の限界もヒシヒシと伝わってきます。

全体の流れとしては、脳が快感を感じる仕組みについて解説を行ったのちに、薬物やギャンブル、セックスや食欲など、それぞれどのような仕組みで快感を司る脳の部位が活性化し、依存症になる可能性があるのかということを説明しています。

特に「ギャンブル」の部分が個人的には非常に面白く感じました。悪用しちゃいけないと思いつつも…スマホで言うソーシャルゲーム的な部分に近い感覚が色々と分かると思います。

「ギャンブル」のところで面白いと思った箇所としては、所謂オペラント条件付けと快感回路との関係で出てくる猿の例ですね。

ちゃんとスキャナで取り込んでいなくて何なのですが・・・


緑の光と同時に報酬を与えたり、緑の光から数秒後に報酬を与えてみたり、青い光から数秒後に50%の確率で報酬を与えてみたりしたときの快感回路の活動ですね。

これを見ていると、例えば緑の光から数秒後に報酬を与えた場合、緑の光照射時に快感回路が活性化することが分かりますが、これは既に学習が済んでいる状態となるので、100%報酬がもらえると分かっている場合は本来実質的な報酬でアクティブとなる快感が緑の光へと移動している事が分かります。

この快感の移動こそが学習なんだろうなと読みながら思いました。
まだ複雑なパターンで同様に適用されるかどうかはfMRIなどの手法では正確には分からないという技術的な問題もありますが。

そしてさらに面白い事に、青い光から数秒後に50%の確率で報酬を与える場合は、青い光で快感回路が最大の活性を見せるわけですが、その後実際の報酬への期待のように徐々に活性が高まっていく様子が見えます。

この辺りがギャンブル性と絡んでくるという事ですね…

その後に書かれているギャンブル依存の内容で言うと

  • ニアミス、即ちもうちょっとで勝てそうだったという状況は快感として経験される場合がある
  • 自分で何かを操作できるときにはさらに快感が強まる
ということです。このニアミス最適度としては30%という数値が本書の中に出てきています…怖ひw

一つ目で「場合がある」としたのは、本書だとニアミスの状況下で「脳の勝ちに関する脳領域が活性した場合」という書き方になっているためです。この辺りの詳細は本書を読んでみてください。

本書で特に強調されている部分は"依存症は本人の生活習慣に依存することなく誰にでも発生する可能性がある"という事でしょう。
即ち「●●依存症」だからといって本人が悪いという訳ではない可能性があると。ただしそこから抜け出せるかどうかは本人次第にはなるのですが。

「アルコール依存症」なんかは特に可哀想ですよね。全て本人のせいになっていたり、社会的な地位も非常に低く見られがちです。
SEX依存症なんかもそうなんでしょうね。タイガー・ウッズ…

今後脳科学が発展する上で仮に「快感」というものが様々制御出来たとして、依存症のリスクもなくなったと過程しても、タバコ(ニコチン)や酒(アルコール)に関して法規制が敷かれるかどうかは全く別問題だという点を著者のリンデン氏は最後に書いています。

確かに社会・文化的な制約とはまた別問題ですからね…

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)
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河出書房新社
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[読了]「おいしい」のマーケティングリサーチ

「おいしい」のマーケティングリサーチ (【「おいしい」のマーケティングリサーチ)ハウス食品でマーケティングリサーチを担当していた筆者がその重要性、手法を丁寧に解説している本です。

昨今ウェブサービス側でもUXの重視が叫ばれ、ユーザのキャスト像、ペルソナ像を作成したり、エスノグラフィ的なインタビュー調査をしたりと様々な取り組みを行っております。

「ユーザを正しく理解すること」。この一言がとても重要なわけですが、この部分がいつも難しいなぁと感じているところです。特に大規模なウェブサービスなんかを運営していると…

本書を読んでいて凄い反省したのは、エスノ的なインタビュー調査結果をKJ法でまとめるといった場合、その抽出した言葉から見えるユーザの未充足なニーズを考えていましたが、「体験」「非体験」という事が抜けていたかなと。


スキャンではなく写真なので粗いのですが、体験 <-> 非体験とネガティブ <-> ポジティブの2軸から重要度を分ける。これは大切ですよね。
無意識にそうしていたのかもしれませんが、今までそれほど深くは考えてこなかったような気がしています。

本書ではデータに関しても自らリサーチを行った結果のプライマリデータと国や調査機関が実施しているような統計情報などのセカンダリデータの2つを用いた仮説立てや、最終的に見えてきたものをさらにKJ法でまとめながら戦略を立てるということを行っています。(そう見えるだけなのかも)

本書では著者のバックボーンが「ハウス食品」であったということで、全て「食」にフォーカスがあたっていますが、それ以外の分野の人も十分に応用出来るし、その姿勢から学ぶものはあるように思います。

ユーザを調査し常に現状のユーザを正しく理解するという「as is」のステータスをとらえ、セカンダリデータを駆使しつつ、次のマーケット状況や今後のユーザニーズの変化、現在の未充足ニーズを抽出し「to be」へと昇華させる事がマーケターとしては重要ですね。