[読了]FinTech革命(日経BPムック)

FinTech革命(日経BPムック)2015年はFinTech革命。即ち金融とテクノロジーを合わせた部分での改革が大幅に行われました。

かつてリーマン・ショックによって職を失った人たちがアドテクノロジーを生み出し、その人材が再度金融業界に戻ったのではないか?と思われるくらいの改革が行われている。そんな印象です。

AI、API、ブロックチェーン。この3つをキーワードにして金融の改革が起きているわけですが、例えば与信審査に関しても今までの銀行基準であれば融資を断られるケースでも、その会社の取引実績や活動、業種等複数の軸により評価を行う事で、銀行ではない全く新しいスタートアップ系企業が融資を申し出ることが出来る。それはまるで企業版DMPのような世界が広がり始めました。

DMP企業のドン的存在であるBluekaiのような役割を果たす企業が日本では現段階だとマネーフォワードさんのようです。
各金融機関と情報を連携し取引の履歴などを一元的に管理する。その情報を利用すれば全く無名企業でもお金を集めてくるということが可能になります。

この流れが推し進められる事で日本のスタートアップ事情も大きく変わるかもしれない…そんな期待も持てる内容ですね。そしてこれは個人に対する与信枠等にも適用することが可能なものです。

こういうオンライン上のデータから見る信頼性の話って、古くはGoogleのページランクだったり、少し前のソーシャルグラフだったり、最近だとナレッジグラフ的なものと少し似ているのかな?と思ったりします。

こういうオンライン上の行動データを使った信頼性・与信などの話、他にも色んな分野に応用していけばどんどん人の仕事を減らすことが出来ますよね。そういう仕事をしている部署、社内にありませんか?

ここまではAI、API絡みのお話。
そしてもう一つがビットコインのシステム「ブロックチェーン」という概念です。

まだ本書第4章で述べられている、システムの詳細部分までは理解できていませんが、中央集権型ではなくP2P型で、かつシステム改竄が難しいというもの。そしてその概念を応用してブロックチェーンの次期バージョンを様々な企業が研究しています。

この仕組みを応用した債券発行だったり、確かに応用可能だなと思うと同時に、ブロックチェーンのそのブロックを溜め込む仕組み自体はどうしようも無いんだろうか?とこの技術に関しては少し感じる部分ではあります。
もちろん、それこそがシステム改竄を難しくしている技術なのですが…

2015年を振り返るにはとても良い本だなと思うと同時に、2016年はより分散システム・分散ネットワークというものに大きく舵がきられていくことは間違いないように思います。

読んでいてWinny製作者の金子さんが頭をよぎりました。

FinTech革命(日経BPムック)
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[読了]イグノランス: 無知こそ科学の原動力

イグノランス: 無知こそ科学の原動力「イグノランス」即ち無知、知らないこと。
それが科学の原動力であり、今現在Googleなどを通じて知の整理、Indexによって人は何かを「知っている」と思わされている部分があります。それはあまりにも多くの人が同じ知識を引用することによってあたかも信じこまされている、真実だと思い込んでいるということもありえます。

イグノランスは非常に身近なもので科学者にとっての専売特許ではありません。科学者ではない一般の人にとっては逆に何が知られていない事(ignorance)なのかを調べることは知のIndexが整備されることによって容易なものとなってきているのかもしれません。

普段の仕事の中で、例えば何かの数式に当てはめて予測を行ったとします。その予測の結果がハズレた場合は寧ろチャンスなわけです。そこには何かのイグノランスが隠れている事を示すのですから。

そういう意味では誰もが科学者になれるわけです。
昔カウンセラーマインドという概念がありましたが、それに似たものを感じます。皆が科学者的なマインドを持つという。

もちろん現教育のような詰め込み的な部分、学問の基礎的な部分がわかっていなければならないとは思いますが、その先に何が分かっていないのかなどを教育者が指し示すことも重要なのかもしれません。ただそれによって学生が方向づけられてしまう事も考えられるので、やはりイグノランスを嗅ぎ分ける好奇心や、自分の興味関心分野を知る必要が有るのでしょう。

著者が視覚分野にあまり興味をソソられなかったのと同じように、イグノランスを嗅ぎ分ける能力の低い分野…興味関心の低い分野というものが存在するのかもしれませんから。


イグノランス: 無知こそ科学の原動力
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[読了]数学する身体

数学する身体数学史を紐解きながら数学とは何かという探求をする。「数学」の元となるギリシア語 の意味合いからすると単なる数に関する学問ではないわけですが、そこから学問として数学が発生し、単なる思考の道具としての数学から抽象化を経て再び「自分とは何か」という自己に戻る。

数学史を基として主に本書で語られるのはチューリングと岡潔。その思考です。
どちらも数学者としては有名なのですが、その数学者の思考、数学を通してその2名がどういう考えに至り何を夢見たか。それが非常に分かる…いや、感じられる本です。

数学史を見ると、数学は道具として一人の人間から外へ外へと理解を深めるツールとして発展してきたはずです。それは「ゼロから始まる」という始点的な考えであった訳ですが、岡潔にしろ最終的にはゼロは目的・ゴールとなっています。恐らくチューリングも同様でしょう。

数学、それ自体は自ら思考するものであり世界を理解する道具であることは間違いないでしょう。しかし数学の一部は身体化し、また抽象化の過程を経ることで世界の理解を促すだけでなく機械化・自動化しました。
その抽象化された数式はアルゴリズムとなり、現在はAIという形で再びゼロへ帰還するプロセスを辿っています。アルゴリズム化・数式化出来なければ未来を予測することは難しいと思いますが、現在はゼロを目的としつつもゼロを始点とし、まるで行ったり来たりを頻繁に繰り返しているような気がします。

もともとのギリシア語でいう「数学」という言葉を考えると、「数学」という思想があらゆる分野へ展開され自己も世界も探求しているとも言えるのかもしれません。

未だにチューリングテスト自体の検証可能性については、よく理解できていない私ですが数学者の思考に少し触れられたような気がしました。


数学する身体
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[読了]プロフェッショナル シンキング (BBT大学シリーズ)

プロフェッショナル シンキング (BBT大学シリーズ)「未来を見通す思考力」ということで、次のビジネスを考える布石になればということでBBTシリーズの本書を読みました。

本書では前半に未来への思考法の基本となる部分を解説し、後半は実践編という感じで手法・考え方を中心に説明書されます。それは「事業構造」「時間軸」「個人」の3つの要素を掛けあわせ、それぞれの側面から分析をしていく。その部分が面白い。

その中から抜粋していくつか紹介すると、事業構造と個人という2要素に対して3C分析とPEST分析を掛けあわせた以下6Cを分析することの重要性が説明されています。

自社の強み弱みといった部分だけでなく競合分析、社会全体の流れなども俯瞰しながら大局的にビジネスを捉え未来のビジネスを検討する。


本書の中では実際にサムスンの事例を持ちだして、6Cを埋めてみて戦略を考えてみる。という事が行われています。
実際に分析を行い、顧客の未来を…。

そして時間軸を見ていくと、バックキャスティングということで未来の1地点から今何をすべきかという戦略を考える。こういう考え方は帰納的・演繹的という用語で説明されることもありますし重要ですね。

また時間軸ということで、起こる可能性のある複数のシナリオを考え、そこからバックキャスティングをするというシナリオプランニングの事例として以下の図が提示されています。

未来は誰にも予測出来ないわけですが、shi3zさんの本でも複数のシナリオを同時並行で検討することで時間的な優位性を高めるというような話があったように思います。本書では「想定した未来が来たらどうするか」「来ない場合はどうするか」という形で書かれていたりしますが、場合によっては複数のシナリオが発生することもあるでしょう。

そして、もう一つ図を。
所謂ニーズ・ウォンツあたりの議論ですが漠然とニーズ・ウォンツを捉えていたものの、ニーズにおけるレイヤー構造、ウォンツにおけるレイヤー構造の提示は結構面白かったです。


普段から「ニーズからウォンツへ」という言葉には違和感があったのですが、本書ではニーズとウォンツをこのように説明しています。
ニーズ(必要性)とは、自らがありたい姿と現状の差を認識し、欠乏や不満を感じることです。人の動機づけでもっとも強いものは、ニーズに対して、自分の状況を改善する(特定の)ものが欲しいというウォンツ(欲求)です。顧客は多くの場合、具体的に「これが手に入れば自分のウォンツは満たされる」ことを知覚しています。
 個人がちゃんと認知できていないであろう潜在ニーズを探るために、レイヤーで考えて深掘りするという作業は重要かなと思いました。

本文とはあまり関係ないのですが、現在もてはやされているAI研究もバイオミメティクスの一つなのかな?と思ったり。人間研究的な意味で。
もちろんAIにも色んな種類があるので全部まとめてバイオミメティクスと言うには乱暴だとは思いますが。

[読了]最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っているshi3zさんの著書をざっと読んでみました。
shi3zさんといえば、enchantMOONくらいしか知らないのですが、個人的にはWindows1.0やWindows2.0と同様、もう少ししたら同様の端末が一般的となる土壌が整うのかもしれません。Surfaceとかも出てきましたし。

本書ではプログラマーが考える思考やパターンが仕事にどう活きてくるのか、どう活かせるのかということが書かれたコラム集といった感じでまとまっています。

常々全く異なる職種、分野、研究でも結局考え方は似ていて、目指している目的が一緒だったりもすると考えていました。当たり前なのかもしれませんが。
普段プログラマーと直接やり取りすることが多い自分にとっては、少し行動を見直すキッカケにもなり不足している点は積極的に取り入れていこうと思いました。

普段はディレクターとして行動している訳ですが、オーダーがまず自分のところに来たあと、そのオーダーを実現するにはどんな風に組み立てたら良いか?というのを漠然と思い描きながら仕様を7割くらい完成させ、残りは実際のプログラマーと話をしてFixというパターンが現在は多い。オーダーを直接プログラマーに落とす土管ではなく、いかに自分のところでタスクを簡易化、目的の明確化が出来るかが勝負だと思っています。

プログラマーではないけれども、簡易なJavascriptを書いてローカルで動かしてみたり、デザイナーへ発注するときも自分で簡易にCSSを書きながら「こんな感じで~」、もしくは「●●を●px追加して、line-heightを~」みたいな話をしつつオーダーしたりもします。とはいえプログラマーの方が知識が豊富であることは間違いないですし、デザイナーのほうが美的感覚というか、やはりビジュアルに対する拘りが強いのも確かなのでガチガチには決めず、そちらの意向を尊重する。そんなやり方を出来るだけ採用しているつもり…だったりします。

そんなこんなで、ほんの触りくらいはプログラマー的な思考を理解しているつもりになっていましたが、やっぱりまだまだ足りないかなと思う今日このごろ。読みやすいですし、経営側にしろディレクターにしろプランナーにしろ、どんな職種の人でもざっと目を通してみるのも良いかもしれません。


最速の仕事術はプログラマーが知っている
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[読了]さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法

さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法この本は今年読んだ中でも最高傑作だと思えるほど面白い(笑

今ウェブサービスにしろ、ハードプロダクトにしろGUIが重んじられ、いかにユーザ体験をよくするGUIを設計するかを議論することが多い。実際にそのアプリを触ってみたりして偉い方が動きを見るものだ。

だけどそんなものは、"本当の"ユーザ利用を考えてみるとユーザが目的を達成するまでにスマートフォンを立ち上げて、ロックを解除して、HOME画面を出して~なんて色々手順を踏んでみると10も20もステップがあることに気づくわけです。

そういう"実像"に光を当て「ベストなインタフェースはノー・インタフェース」という考え方を展開している。NoUI。本当に本書では現実に提供されているプロダクトやウェブサービスを皮肉たっぷりに褒めちぎりながら、"でもさ、そんなユーザ体験全くノーサンキュー"っていう言葉がにじみ出ている(苦笑

NoUIとは言葉の通り、人がスマートフォンを起動して"●●したい"というウォンツを提示して、それに対する解決策をアプリまたはウェブサービス側が提示、または実行するという普通のユーザインターフェースではなく、そういう行動自体を無くして機械同士で解決をするというもの。
例えばスマートフォンを利用してドアを解錠できるとする。その場合ユーザはドアの近くまで来たらスマートフォンを取り出し、スマートフォンの電源を入れ~、アプリを立ち上げ~、本人認証もして~、アプリで解錠操作をする…という、全部で10以上のステップをするのではなく、GPSやBluetoothを利用したりして機械同士でコミュニケーションをして、勝手に解錠すればいいじゃんと。

それこそNoUI。

本書を読みながらも、画面のUIに頼りっきりな状態となっている根本原因は、ユーザの所謂Momentを端末が検知できないから何がしたいかの操作を画面上で行ってもらわなければならないからなのかなと思ったりしました。

もちろんNoUI以外は有り得ないという主張はしておらず、
「ベストなインタフェースはノー・インタフェース」のコンセプトが進化を発揮するのは、行動を換気するときや、デザイナーとか開発者とかの指針となるとき
としています。
一つのサービスについて考えに考えぬいて、機械同士の会話、または一つの機械だけで判断して何か実行出来るようなサービスであると判断されるならばNoUIを推進すべきなのでしょう。


■メモ
ジェフ・ハマーバッカー「ぼくたちの世代は、すごく優秀な人材が、ユーザーに広告をクリックさせるコツばかり考えてるんだから、げんなりさ」

ポップアップ広告の開発者の一人、イーサン・ザッカーマン「堕落し果てたインターネットの現状は、サイト運営の収入源として広告を選んだことの(意図的ではないとしても)直接的な結果にほかならない」


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[読了]鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書)

鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書)この本のタイトルを最初「ネット鎖国論」にする予定だったと書かれておりますが、インターネットにおける今までの歴史や話題となっているもの、現状把握そしてそれに対する考え方などに対するカワンゴさんの考え方が散りばめられており、とても素晴らしい本なのではないかと思います。

やはり立場上というのもあるでしょうが「コンテンツ」に対する考え方。
この部分は非常に難しいなと思いつつ、読みながらいくつか考えていました。

ひとつはプラットフォームとコンテンツ一次製作者、または著作物保有者との関係。もう一つがデジタル世界における特典や付加サービスについてです。

今に始まったことではありませんが、インターネットにサービスが立ち上がり「プラットフォーム」になることの優位性が説かれるようになりました。今では沢山のプラットフォームが存在しているわけですが、GoogleやAmazonなどのプラットフォームが強く、そこの言いなりのような状態となっています。

コンテンツを保有している立場の人・企業がプラットフォームに依存することによって、そのコンテンツを必要としているユーザとコンテンツ保有側とのつながりが殆ど無い。繋がる方法が無くはないけれども、基本的にはプラットフォーム側が更なるコンテンツの販売用マーケティングデータとして利用するだけとなっています。

理想としては「プラットフォームに依存しない方が良い」わけですが、それが現状難しいのでコンテンツ = プラットフォームになるぐらいが良いと書いております。この部分に関しては本の最後まで読んでいる限り、それに対する回答は示されておらず、あくまで現状強いプラットフォームに従うべきであると読めてしまったわけですが、コンテンツがプラットフォームになるくらい、コンテンツ保有側が力を持ち、利用者と直接繋がることができるようになるには、一体どうすればよいか…それについて私たちは考え続けなければならないのかもしれません。

もう一点気になったデジタルコンテンツ世界における特典や付加サービスというのは、CDやDVDではそれにしか収録されていない動画や曲が入っている事によって、デジタルではなく「そのCD」を購入させるというリアルな行動を促しているわけです。デジタルでも同じことが出来るのか?というところ。

その部分について「それ出来るじゃん!」って普通に思いましたが、考えが浅いのかもしれません。
知り合いのフクロウラボさんの技術が真っ先に頭に浮かんだ訳ですが、最終的には「リワード広告」の要素がありそうだと指摘されたので記述してみると、最初に考えたのはこんな感じ。

Androidアプリに関して、AというアプリにフクロウラボさんのSDKをインストールしている状態だとすると、Aアプリの中でBアプリがその利用端末にインストールされているか、されていないかの判定が可能となります。であれば、Aアプリ内でBアプリがインストールされていたらAアプリ内で再生できる動画や音楽、画像が閲覧できるというような仕組み。

もちろん、もっとちゃんと考えないといけいないわけですが、Bアプリインストールに対するリベートが無いのであれば「リワード広告」には当たらないのでは?とちょっと思ったりはしました。特にLINEのように自社アプリが沢山存在している場合は、この手法が効果を発揮するのかなと。その辺はビジネスモデルをもう少し検討することでもう少しスマートな方法が見つかるかもしれません。

本書を読んでいると、皆さんも色々ハッと気づく事や自社サービスに活かせるキッカケがつかめるかもしれません。
オススメです。

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