[読了]イグノランス: 無知こそ科学の原動力

イグノランス: 無知こそ科学の原動力「イグノランス」即ち無知、知らないこと。
それが科学の原動力であり、今現在Googleなどを通じて知の整理、Indexによって人は何かを「知っている」と思わされている部分があります。それはあまりにも多くの人が同じ知識を引用することによってあたかも信じこまされている、真実だと思い込んでいるということもありえます。

イグノランスは非常に身近なもので科学者にとっての専売特許ではありません。科学者ではない一般の人にとっては逆に何が知られていない事(ignorance)なのかを調べることは知のIndexが整備されることによって容易なものとなってきているのかもしれません。

普段の仕事の中で、例えば何かの数式に当てはめて予測を行ったとします。その予測の結果がハズレた場合は寧ろチャンスなわけです。そこには何かのイグノランスが隠れている事を示すのですから。

そういう意味では誰もが科学者になれるわけです。
昔カウンセラーマインドという概念がありましたが、それに似たものを感じます。皆が科学者的なマインドを持つという。

もちろん現教育のような詰め込み的な部分、学問の基礎的な部分がわかっていなければならないとは思いますが、その先に何が分かっていないのかなどを教育者が指し示すことも重要なのかもしれません。ただそれによって学生が方向づけられてしまう事も考えられるので、やはりイグノランスを嗅ぎ分ける好奇心や、自分の興味関心分野を知る必要が有るのでしょう。

著者が視覚分野にあまり興味をソソられなかったのと同じように、イグノランスを嗅ぎ分ける能力の低い分野…興味関心の低い分野というものが存在するのかもしれませんから。


イグノランス: 無知こそ科学の原動力
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東京化学同人
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[読了]数学する身体

数学する身体数学史を紐解きながら数学とは何かという探求をする。「数学」の元となるギリシア語 の意味合いからすると単なる数に関する学問ではないわけですが、そこから学問として数学が発生し、単なる思考の道具としての数学から抽象化を経て再び「自分とは何か」という自己に戻る。

数学史を基として主に本書で語られるのはチューリングと岡潔。その思考です。
どちらも数学者としては有名なのですが、その数学者の思考、数学を通してその2名がどういう考えに至り何を夢見たか。それが非常に分かる…いや、感じられる本です。

数学史を見ると、数学は道具として一人の人間から外へ外へと理解を深めるツールとして発展してきたはずです。それは「ゼロから始まる」という始点的な考えであった訳ですが、岡潔にしろ最終的にはゼロは目的・ゴールとなっています。恐らくチューリングも同様でしょう。

数学、それ自体は自ら思考するものであり世界を理解する道具であることは間違いないでしょう。しかし数学の一部は身体化し、また抽象化の過程を経ることで世界の理解を促すだけでなく機械化・自動化しました。
その抽象化された数式はアルゴリズムとなり、現在はAIという形で再びゼロへ帰還するプロセスを辿っています。アルゴリズム化・数式化出来なければ未来を予測することは難しいと思いますが、現在はゼロを目的としつつもゼロを始点とし、まるで行ったり来たりを頻繁に繰り返しているような気がします。

もともとのギリシア語でいう「数学」という言葉を考えると、「数学」という思想があらゆる分野へ展開され自己も世界も探求しているとも言えるのかもしれません。

未だにチューリングテスト自体の検証可能性については、よく理解できていない私ですが数学者の思考に少し触れられたような気がしました。


数学する身体
数学する身体
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[読了]プロフェッショナル シンキング (BBT大学シリーズ)

プロフェッショナル シンキング (BBT大学シリーズ)「未来を見通す思考力」ということで、次のビジネスを考える布石になればということでBBTシリーズの本書を読みました。

本書では前半に未来への思考法の基本となる部分を解説し、後半は実践編という感じで手法・考え方を中心に説明書されます。それは「事業構造」「時間軸」「個人」の3つの要素を掛けあわせ、それぞれの側面から分析をしていく。その部分が面白い。

その中から抜粋していくつか紹介すると、事業構造と個人という2要素に対して3C分析とPEST分析を掛けあわせた以下6Cを分析することの重要性が説明されています。

自社の強み弱みといった部分だけでなく競合分析、社会全体の流れなども俯瞰しながら大局的にビジネスを捉え未来のビジネスを検討する。


本書の中では実際にサムスンの事例を持ちだして、6Cを埋めてみて戦略を考えてみる。という事が行われています。
実際に分析を行い、顧客の未来を…。

そして時間軸を見ていくと、バックキャスティングということで未来の1地点から今何をすべきかという戦略を考える。こういう考え方は帰納的・演繹的という用語で説明されることもありますし重要ですね。

また時間軸ということで、起こる可能性のある複数のシナリオを考え、そこからバックキャスティングをするというシナリオプランニングの事例として以下の図が提示されています。

未来は誰にも予測出来ないわけですが、shi3zさんの本でも複数のシナリオを同時並行で検討することで時間的な優位性を高めるというような話があったように思います。本書では「想定した未来が来たらどうするか」「来ない場合はどうするか」という形で書かれていたりしますが、場合によっては複数のシナリオが発生することもあるでしょう。

そして、もう一つ図を。
所謂ニーズ・ウォンツあたりの議論ですが漠然とニーズ・ウォンツを捉えていたものの、ニーズにおけるレイヤー構造、ウォンツにおけるレイヤー構造の提示は結構面白かったです。


普段から「ニーズからウォンツへ」という言葉には違和感があったのですが、本書ではニーズとウォンツをこのように説明しています。
ニーズ(必要性)とは、自らがありたい姿と現状の差を認識し、欠乏や不満を感じることです。人の動機づけでもっとも強いものは、ニーズに対して、自分の状況を改善する(特定の)ものが欲しいというウォンツ(欲求)です。顧客は多くの場合、具体的に「これが手に入れば自分のウォンツは満たされる」ことを知覚しています。
 個人がちゃんと認知できていないであろう潜在ニーズを探るために、レイヤーで考えて深掘りするという作業は重要かなと思いました。

本文とはあまり関係ないのですが、現在もてはやされているAI研究もバイオミメティクスの一つなのかな?と思ったり。人間研究的な意味で。
もちろんAIにも色んな種類があるので全部まとめてバイオミメティクスと言うには乱暴だとは思いますが。

[読了]最速の仕事術はプログラマーが知っている

最速の仕事術はプログラマーが知っているshi3zさんの著書をざっと読んでみました。
shi3zさんといえば、enchantMOONくらいしか知らないのですが、個人的にはWindows1.0やWindows2.0と同様、もう少ししたら同様の端末が一般的となる土壌が整うのかもしれません。Surfaceとかも出てきましたし。

本書ではプログラマーが考える思考やパターンが仕事にどう活きてくるのか、どう活かせるのかということが書かれたコラム集といった感じでまとまっています。

常々全く異なる職種、分野、研究でも結局考え方は似ていて、目指している目的が一緒だったりもすると考えていました。当たり前なのかもしれませんが。
普段プログラマーと直接やり取りすることが多い自分にとっては、少し行動を見直すキッカケにもなり不足している点は積極的に取り入れていこうと思いました。

普段はディレクターとして行動している訳ですが、オーダーがまず自分のところに来たあと、そのオーダーを実現するにはどんな風に組み立てたら良いか?というのを漠然と思い描きながら仕様を7割くらい完成させ、残りは実際のプログラマーと話をしてFixというパターンが現在は多い。オーダーを直接プログラマーに落とす土管ではなく、いかに自分のところでタスクを簡易化、目的の明確化が出来るかが勝負だと思っています。

プログラマーではないけれども、簡易なJavascriptを書いてローカルで動かしてみたり、デザイナーへ発注するときも自分で簡易にCSSを書きながら「こんな感じで~」、もしくは「●●を●px追加して、line-heightを~」みたいな話をしつつオーダーしたりもします。とはいえプログラマーの方が知識が豊富であることは間違いないですし、デザイナーのほうが美的感覚というか、やはりビジュアルに対する拘りが強いのも確かなのでガチガチには決めず、そちらの意向を尊重する。そんなやり方を出来るだけ採用しているつもり…だったりします。

そんなこんなで、ほんの触りくらいはプログラマー的な思考を理解しているつもりになっていましたが、やっぱりまだまだ足りないかなと思う今日このごろ。読みやすいですし、経営側にしろディレクターにしろプランナーにしろ、どんな職種の人でもざっと目を通してみるのも良いかもしれません。


最速の仕事術はプログラマーが知っている
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[読了]さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法

さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法この本は今年読んだ中でも最高傑作だと思えるほど面白い(笑

今ウェブサービスにしろ、ハードプロダクトにしろGUIが重んじられ、いかにユーザ体験をよくするGUIを設計するかを議論することが多い。実際にそのアプリを触ってみたりして偉い方が動きを見るものだ。

だけどそんなものは、"本当の"ユーザ利用を考えてみるとユーザが目的を達成するまでにスマートフォンを立ち上げて、ロックを解除して、HOME画面を出して~なんて色々手順を踏んでみると10も20もステップがあることに気づくわけです。

そういう"実像"に光を当て「ベストなインタフェースはノー・インタフェース」という考え方を展開している。NoUI。本当に本書では現実に提供されているプロダクトやウェブサービスを皮肉たっぷりに褒めちぎりながら、"でもさ、そんなユーザ体験全くノーサンキュー"っていう言葉がにじみ出ている(苦笑

NoUIとは言葉の通り、人がスマートフォンを起動して"●●したい"というウォンツを提示して、それに対する解決策をアプリまたはウェブサービス側が提示、または実行するという普通のユーザインターフェースではなく、そういう行動自体を無くして機械同士で解決をするというもの。
例えばスマートフォンを利用してドアを解錠できるとする。その場合ユーザはドアの近くまで来たらスマートフォンを取り出し、スマートフォンの電源を入れ~、アプリを立ち上げ~、本人認証もして~、アプリで解錠操作をする…という、全部で10以上のステップをするのではなく、GPSやBluetoothを利用したりして機械同士でコミュニケーションをして、勝手に解錠すればいいじゃんと。

それこそNoUI。

本書を読みながらも、画面のUIに頼りっきりな状態となっている根本原因は、ユーザの所謂Momentを端末が検知できないから何がしたいかの操作を画面上で行ってもらわなければならないからなのかなと思ったりしました。

もちろんNoUI以外は有り得ないという主張はしておらず、
「ベストなインタフェースはノー・インタフェース」のコンセプトが進化を発揮するのは、行動を換気するときや、デザイナーとか開発者とかの指針となるとき
としています。
一つのサービスについて考えに考えぬいて、機械同士の会話、または一つの機械だけで判断して何か実行出来るようなサービスであると判断されるならばNoUIを推進すべきなのでしょう。


■メモ
ジェフ・ハマーバッカー「ぼくたちの世代は、すごく優秀な人材が、ユーザーに広告をクリックさせるコツばかり考えてるんだから、げんなりさ」

ポップアップ広告の開発者の一人、イーサン・ザッカーマン「堕落し果てたインターネットの現状は、サイト運営の収入源として広告を選んだことの(意図的ではないとしても)直接的な結果にほかならない」


さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法
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[読了]鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書)

鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書)この本のタイトルを最初「ネット鎖国論」にする予定だったと書かれておりますが、インターネットにおける今までの歴史や話題となっているもの、現状把握そしてそれに対する考え方などに対するカワンゴさんの考え方が散りばめられており、とても素晴らしい本なのではないかと思います。

やはり立場上というのもあるでしょうが「コンテンツ」に対する考え方。
この部分は非常に難しいなと思いつつ、読みながらいくつか考えていました。

ひとつはプラットフォームとコンテンツ一次製作者、または著作物保有者との関係。もう一つがデジタル世界における特典や付加サービスについてです。

今に始まったことではありませんが、インターネットにサービスが立ち上がり「プラットフォーム」になることの優位性が説かれるようになりました。今では沢山のプラットフォームが存在しているわけですが、GoogleやAmazonなどのプラットフォームが強く、そこの言いなりのような状態となっています。

コンテンツを保有している立場の人・企業がプラットフォームに依存することによって、そのコンテンツを必要としているユーザとコンテンツ保有側とのつながりが殆ど無い。繋がる方法が無くはないけれども、基本的にはプラットフォーム側が更なるコンテンツの販売用マーケティングデータとして利用するだけとなっています。

理想としては「プラットフォームに依存しない方が良い」わけですが、それが現状難しいのでコンテンツ = プラットフォームになるぐらいが良いと書いております。この部分に関しては本の最後まで読んでいる限り、それに対する回答は示されておらず、あくまで現状強いプラットフォームに従うべきであると読めてしまったわけですが、コンテンツがプラットフォームになるくらい、コンテンツ保有側が力を持ち、利用者と直接繋がることができるようになるには、一体どうすればよいか…それについて私たちは考え続けなければならないのかもしれません。

もう一点気になったデジタルコンテンツ世界における特典や付加サービスというのは、CDやDVDではそれにしか収録されていない動画や曲が入っている事によって、デジタルではなく「そのCD」を購入させるというリアルな行動を促しているわけです。デジタルでも同じことが出来るのか?というところ。

その部分について「それ出来るじゃん!」って普通に思いましたが、考えが浅いのかもしれません。
知り合いのフクロウラボさんの技術が真っ先に頭に浮かんだ訳ですが、最終的には「リワード広告」の要素がありそうだと指摘されたので記述してみると、最初に考えたのはこんな感じ。

Androidアプリに関して、AというアプリにフクロウラボさんのSDKをインストールしている状態だとすると、Aアプリの中でBアプリがその利用端末にインストールされているか、されていないかの判定が可能となります。であれば、Aアプリ内でBアプリがインストールされていたらAアプリ内で再生できる動画や音楽、画像が閲覧できるというような仕組み。

もちろん、もっとちゃんと考えないといけいないわけですが、Bアプリインストールに対するリベートが無いのであれば「リワード広告」には当たらないのでは?とちょっと思ったりはしました。特にLINEのように自社アプリが沢山存在している場合は、この手法が効果を発揮するのかなと。その辺はビジネスモデルをもう少し検討することでもう少しスマートな方法が見つかるかもしれません。

本書を読んでいると、皆さんも色々ハッと気づく事や自社サービスに活かせるキッカケがつかめるかもしれません。
オススメです。

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[読了]ビジネスモデル2025

ビジネスモデル2025現在海外を中心に数多出てきている新しいビジネスモデル、新しい価値観をキーに未来を探る。

次に自分でサービスを考える際、今現在よりも半歩先を目指すための価値観や、次に流行るキーワードを知るのにはとても良い本だと思いますが、所謂海外サービスを紹介しまくるよくあるパターンの本でも有ります。

一つ一つのサービスの本質を捉え、ユーザニーズを考えながら次のビジネスへ繋げていくのが良し。

[読了]BtoC向けマーケティングオートメーション CCCM入門 (NextPublishing)

BtoC向けマーケティングオートメーション CCCM入門 (NextPublishing)ちょっと寝かせてしまっていたので、今更ながら読み終わり。
MAについては、CRMとかRFM分析とか結局似たり寄ったりで、自分の中でもそれほど整理ができている概念では無いので少し恥ずかしく。

ただ、やはり今までのマーケティング以上のものではないなぁという感想。

結局DMPにしても、新チャネルによる双方向コミュニケーションにしても、その切り口だったりデータセットに関しては、ありきたりな議論に終始せざるを得ないというのが現状なのかもしれないですね。DMPという魔法の箱とユーザセグメント、そのセットでアプローチをすると。

アプローチ手段としては、やはりnotification marketing(SMSだったりAndroidなどのOSネイティブ)あたりの利用とか新しいものは出てきているのは間違いないですが。iOS側は知らないのですが、AndroidのNotificationであればデザインも3~4種類あって、ただの通知的なものから写真が表示されたり、ミュート機能を実装したりパターンがあります。そして、Notificationを見る人も6割に登るというデータも本書で示されているので、逆に通知し過ぎないような戦略も必要になるということなのでしょう。まぁその辺りも結構最近はよく議論されているような印象ですが。

ウェブページの行動データを用いたターゲティングに関しては、単純な購買データやユーザデータの他にも様々なやり方があるとは思いますが、閲覧しているページの行動を用いる事も多いわけですが、本書を読みながら分析の切り口について少し考えていると、例えばURLの体系が以下のようになっていたとすると、


例えば、 /item/flowerarrange/ の配下のページを見た人は、フラワーアレンジに興味があるという分類だったり、その下の階層分類を利用したりするなど、情報構造から簡単に推察することが出来るわけです。これは無理やりGoogle Analyticsでコンテンツグループのようなものを生成しても良いですし、普通にURLからユーザの興味関心のタグ付けをしつつ、そのタグページを何回踏んだとか、そんな感じで重み付けをしていくことも可能なのでしょう。

こう考えてみると、やはりウェブサイトの構築は情報整理から始まるなーと改めて認識するわけです。SEO的にも非常に…いや、もっとも重要だと言っても過言でもないプロセスですし。

話は変わりますが、直近のAmazonやFacebookの動きを見ているとGoogle排除、広告排除の動きとアプリ内からユーザを出さないような仕組み、またはウェブブラウザからアプリへと人を誘導する動きが非常に大きいと感じているわけですが、その動きがより活発化するとインターネットを利用しているユーザ側から見ればコンテンツがより見つけづらくなり、企業側からすればマーケティングデータの不足やアプローチの難しさが出てきます。

GoogleのNowやBingのCortanaなどの所謂ディープラーニング系技術によって、情報のリコメンド機能によりコンテンツがプッシュされてくるかもしれませんが…。バズるような記事であればソーシャルメディアでコンテンツを発見することもあるでしょうが。
そう考えてみると、DMPとしてプライベートデータを活用するためには、Facebookのような大きな組織体になって常にアクティブユーザが大量にいる状態を作り出すか、Apple的なプラットフォーム側へと回るしか手段がなくなる可能性があるような気がします。

それは極端な議論かも知れませんし、現状のAppleコンテンツブロックは有料ツールだったりするのでそこまで普及しないと思われますが、無料ツールが出てくるのは時間の問題だと思いますし…

そういう意味においては、もしかすると「Supership」という組織的な考え方は重要なのかもしれない…なんて思ったりしました。
前者的アプローチですね。


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[読了]マーケティング零(ゼロ)

マーケティング零(ゼロ)時々、こういうアカデミック側の本を手に取ると、学びや発見があるから面白い。
今回は特に序盤は序盤が特に面白かった。

序章の部分では、「マーケティング」の話というよりは大石氏の考え方が披露されている部分のような感じですが、学問的な研究と実務関係者の話を沢山聞いてきた大石氏の考え方というべきだと思います。

まず、課題解決に対する立案の部分。
大石氏は次のような図を提示するわけですが、現実を重んじ本質を捉え、そこから帰納法的なアプローチによって要因分析を行います。そしてその本質部分に対しては様々な知識を収集し、そこからソリューションを導き実行し、フィードバックするPDCAのサイクルを回す。

この内容を読んでいたとき、デザイン思考におけるKA法を思い出しました。


以下の図は千葉工業大学情報デザイン演習さんのサイトから拝借させていただきました。


このアプローチは最下部のユーザーの事象が所謂「現実」その現実部分から、ユーザーの行動目標、そして本質的な要求へとmeta化させる。
デザイン思考において、このmetaから課題を導くことで「未知」すなわち未来である「to be」へ向かって思考を進めるわけですが、大石氏の手法も全く同じことで、この現実の事象に対する原因を特定したら、その原因に対するアプローチに外部の知識を利用すると言っているだけなわけです。

ユーザー要求をmeta化し、それを新規のサービスへと展開したり、またはウェブサイトであればUIへ落とし込んだりする事で競合他社とは違うサービスを展開したり、他社の猿真似ではなく画期的なサービスへ導く事を目的としますが、学問側へ知識を求めた場合はどうなるでしょうか。

恐らく学問側の知見は実務とは違うものの、実はその本質だと思っていた内容が人間の何かの心理に紐付いていることが分かったり、単なるmeta的なものではなく、全く違う視点が得られるのかもしれません。どうしてもmeta化させた時の要求は一般的なものになりすぎたりする場合もあると思いますし。

アプローチの違いはあれど、この辺りを考えてみるとかなり面白い!

そして、恐らく多くのマーケッターが考えていると思いますが、アカデミックなマーケティングの概念とここ5年ほど重要視されているDMPとか、その辺との関係性。ここもとても気になります。

1章の部分を読みつつ、STP即ちセグメンテーションとターゲティング、ポジショニングというあたりで捉えてみると、DMPはSTP全体に直接響く施策で、全セグメントを対象としているプラットフォームを想定しているのだろうと思いますが、それは即ち従来のマーケティング概念からすると、コストリーダーシップポジションの企業と真っ向からぶつかる概念として、全ターゲットに対してアプローチする手法といえるのではないかと考えました。

そして昨今のクラウドサービスなどにより「コスト」自体が下がったと言えます。従来のコスト・リーダーシップのポジションではトヨタなど、テレビCMや大量の中吊り広告などお金をかけて全ターゲットに対してアプローチをかけていましたが、インターネットの世界においては、低コストで全ターゲットに対してアプローチが出来るようになったという事でしょうか。
そしてサーバ処理性能によって、セグメント計算もリアルタイムで細かくできるようになると…

そうなった場合、そのDMP自体の差別化は全ターゲットにアプローチする手法の違いであって、その部分については科学や理系的な普遍性・再現性というプログラミングと、相手となる人間という揺らぐ存在とのせめぎ合いと言えるのかもしれません。
全ターゲットへのアプローチがDMPの基礎的データと行動データなどのデータ群を処理し、細かくセグメント化するプログラミング的アプローチによって行われる訳ですが、その人のマイクロモーメントをうまく捉え、どんどんセグメントを変えていける事がもしかすると揺らぐ人間に対するアプローチとしては最適なものになるのかもしれません。

DMPを使って最終的に何を行い、ユーザー価値をどのように生み出すかという考え方によってDMPの中も今後分類出来るようになるのかもしれませんが、現状言われているDMP技術概念は、あくまでB2Bにおける情報の潤滑剤としての基礎技術という程度で、その技術自体はマーケティング手法の1つという立場を脱しておらず、マーケティングの学問としての研究価値はないかもしれません…。

少し考え始めてみるとDMPという技術そのものに対して、ポジショニングがどーとかっていう議論自体、話のレベルが違う気がしてきました(苦笑
ただ、マーケティング手法としてのDMPはここ5年ほどずっと考えられており、それを活用することで細かいセグメントによってユーザーがアクションするであろう確度の高いマーケティングが出来るのではないかと考えられているのも事実です。そうなった場合、それを利用する企業のポジショニングはどのように変化するのでしょうか?

もう一点少し考えてみた内容はPLC(Product Life Cycle)に関してです。ウェブページ1枚を考えた場合、取り扱うコンテンツがニュースや時事的な時間軸が重要なものに関してはコンテンツ自体の消費という意味でPLCと同じようなサイクルをたどることが多いと思われますが、普遍的な情報、恒常的に求められるコンテンツを生み出すというアプローチを取った場合、このPLCという概念から脱し、コンテンツ自体の価値の総和を底上げするのではないかという事です。


時事的なものを取り扱うウェブサイトに関しては常にPLCとの戦いとなり、そうではない価値をユーザーへ提供しているウェブサイトはPLCから脱する。その情報が本当にユーザーから求められているのであれば、情報価値が高く見積もられると。そんな風に感じました。
Knowledgeを提供するサイトはPLC系コンテンツを取り扱い始めた時点で疲弊していくだけなのかもしれません。

そんな風に感じました。

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[読了]仕事ができる人の「情報センス」: 「考える・深める・分かち合う」方法

仕事ができる人の「情報センス」: 「考える・深める・分かち合う」方法 (知的生きかた文庫)情報過多時代の情報とのつきあい方として、「アウトプット」がいかに大事かを伝える本ですが、まずは情報のインプット部分の感覚を養うための方法論を序盤の章で語り、その確度の高い情報を自分なりにどう消化 OR 昇華させ、最終的にアウトプットまで持っていくか。

その辺りが理解できます。
僕自身、普段本を読んだ後、一応このように書評というかメモを書くことがありますが、書き始める時点では「たぶん数行しか書くことがないだろうなぁ」とか、「書くことがそもそも無いなぁ」と思いながら書き始める事がありますが、なぜか書きながら自分の中で「あれはこういうことなのか?」とか「その考え方はこれに応用できるのでは?」といった疑問が生まれることがあります。

読んでいる時点では感じなかったものも、アウトプットし始めると何か自分の中で考えが展開し始める。
そして、他の業界での常識的なものが、結局自分の業界でも考えの根幹は一緒なんだなぁと思ったり。そういう事があるので、苦しくても一応書き始めたりするわけです。

とはいえ、数行で全く考える内容がなくなってしまうものももちろん有りますけどね。

自分自身、結構自分で色々と調べてから考えたいとか、恐らく無駄だと思われる行動を結構します。
例えば、最近で言えば安保法問題。SNS含め一切言及はしていませんが、元となっている法案の新旧表を眺めたいとか、賛成反対両方の立場の意見を一回時間をとって調べたいとか、それぞれの立場の本当の目的と言いますか、ゴールとするもの、理想としているものは何なのかを考えたい…そう思ってしまうのです。

人から聞く時点でバイアスがかかるわけですが、結局本も人が書いているわけでバイアスは避けられません。ただ、自分で考えた結果を信じようとかキレイ事を考えてしまうのは悪い癖なのかもしれません。

読書中にこういうことを考え始めると、本の内容が全然頭に入ってこなかったりもしますしね。

本書のこのメモも、最初こんなに書くことは無いと思っていた訳ですが、結局書きながら自分を見つめなおしていると色々と書いておきたいことが浮かんでくる。アウトプットとはそういうものなのでしょう。
そういう意味で、前職では僕の書く読書メモは書評というよりは、その本を一度読んだことがないと理解が出来ないとか、考え方が面白いなどと言われていた訳ですが、それはそれで良くもあり、書評としては最悪でもあります(苦笑

本書の中で1箇所だけ、ビジネスでも気にとめておこうと思ったのが「情報収集のためのフレームワーク質問術」

  • 定義を聞く
  • トレンドを聞く
  • スタンスを聞く
という部分。

「定義を聞く」は「どういう●●ですか?」という質問で、例としては「それはどんな情報の共有ですか?」「共有するのは、どの範囲の人ですか?」など
「トレンドを聞く」は「最近は●●ですか?」という質問で、例としては「情報共有で、最近なにかトラブルでも有りましたか?」「以前は共有できていたけれど、最近は共有できなくなったのですか?」など
「スタンスを聞く」は「●●をどう考えていますか?」という質問で、例としては「仕組みができた結果、どのような効果を期待していますか?」「情報共有することで何を変えたいですか?」など。


この部分は会話で常に意識したい部分ですね。