[読了]フレームワークで人は動く 「変革のプロ」が使いこなす18の武器

フレームワークで人は動く 「変革のプロ」が使いこなす18の武器フレームワークを紹介する本です。
一般的に業務やタスクなど、競合分析を含め手を動かすフレームワークを紹介する本が多いのに対して、この本ではコミュニケーション系のフレームワークという、人と人の関係性やプロジェクトを推進する過程で発生する軋轢などを最小限にしながらやり遂げるかという点も書かれている点は新しいのではないでしょうか?

本書の最後にも書かれていますが、フレームワークは知っているだけではダメで、その場その場でどのフレームワークを利用すれば現状を良くすることが出来るのか、そして避けられないリスクにも対処することができるのかを瞬時に判断して、実行していくことが重要となります。

その意味では、本書を知って「ふーん」と終わらせることなく、「そういえば、こんなフレームワークがあったな」と思い出して利用し、自分の中で成功体験を積み重ねながら進んでいかなければなりませんね。

[読了]心を動かすデザインの秘密 認知心理学から見る新しいデザイン学

心を動かすデザインの秘密 認知心理学から見る新しいデザイン学認知心理学、即ち人間の知覚や認知される現象の学問的な紹介、そして本書では主にアート的な意味で使われている「デザイン」、その間にノーマンやニールセンが提唱する概念を紹介しつつ、新たな「認知デザイン学」という分野を提唱している本です。

ギブソン的なアフォーダンスの説明からノーマンのアフォーダンス概念、そしてシグニフィアの紹介も完結にされており、初めてその概念に触れる人にも優しい内容になっていました。

ノーマンの人工物デザインの評価に関するデザイン理論としての「本能」「行動」「内省」という3つの概念については、恥ずかしながら知りませんでした。

  1. 美観や欲求のような、人間の基本的・生理的な水準で評価される本能レベルのデザイン
  2. 機能や使いやすさといった行動レベルのデザイン(アフォーダンス)
  3. 高次の認知過程である人間の思考や理解など、人工物に与える意味や人工物との「付き合い」に代表される内省レベルに関わるデザイン
の3つです。
この辺りはノーマンの「人を賢くする道具―ソフト・テクノロジーの心理学」という本で詳しく書かれているみたいですね。

ただ、本書を読んだだけだと、この内省レベルのデザインが、イマイチ理解できませんでした。本書の内容を簡単に言うならばデザイン評価は「アート」としての評価、「アフォーダンス」としての評価、「経験価値」としての評価の3軸という感じです。

3つ目の「経験価値」に関しては、そのモノを利用することによって生まれる物語、思い出、結びつきといった内省を伴う評価と説明されていますが、そうなるとデザイン評価としては人によってブレてしまうし、デザインとして評価するために使用期間のような「時間軸」が大切になってきてしまう事も考えられます。

また本書では「ユーザが人工物に対して自ら働きかけることに寄って生成される価値を含んだ、インタラクティブな視座に立っている」とも説明されていることから、旧来のノーマン的アフォーダンス、即ち過去の経験などに引きずられて、そのプロダクトからもたらされる一つの「意味」を評価するものとは対立する概念ではないかとも思うのです。

もう少し突っ込むと、旧来のノーマン的アフォーダンスの概念と「経験価値」の2つを合わせると、"それって結局ギブソン的なアフォーダンスじゃね?"と思うわけです(笑

まぁギブソン的な「知覚」というより「体験」とそれに伴う「感性」も含むと理解して、敢えてそのまま触れないで3つあるんだという理解でも良いのかもしれませんが。

本書では「人間中心設計」についても触れられていますが、そのデメリットとして新しいモノが生まれにくいという性質にも言及されています。
この辺りは今までも「そうなるよね」と理解されていることではありますが、MITメディアラボの伊藤穰一さんの話を聞いた感じだと、プログラマ的に理詰めで考えるよりもアーティスト的な考え方を取り入れないと飛躍することは難しいのかな?と考えていたりします。

AR三兄弟の川田さん的に言えば「順番工学」的な思考をしている限りは従来の経験やスキーマ、メンタルモデルから脱却することはできず、逆に「順番美学」的な思考を取り入れることによって、新しい枠組みへ脱せられるのかもしれません。

あと本書を読んでいて一つ感じたのは、昨今ウェブ業界でUXがひたすら叫ばれ、人間中心設計が大切だと説かれることが多い訳ですが、HCDとしてデザイナーやプログラマー、プランナーなどが皆集ってUXについて議論している様子は、ベルガンティが提唱する「デザイン・ディスコース」そのものだなと思うと同時に、アーティストを工学的な分野へと引きずり込む場になっていないかな?と思ったりしました。

本書ではハードウェア的なデザインや体験価値について様々に書かれているため、ソフトウェア、特にウェブについて考えた場合、それは実はデザイナーを工学へ引き込む事しか出来ていないのかも?と思ってしまいました。

組織論やプロジェクト進行的には正しいあり方なのかもしれませんが。
何か本書を読んでいて、モヤモヤするものが残る結果となりました。

[読了]「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記

「自分メディア」はこう作る! 大人気ブログの超戦略的運営記本書は2部構成で、前半が「裏を知る」編としてChikirinブログの歴史と自分メディアをどのように作っていったのか、そしてその日記を中心として周りで発生したイベントなどが纏められていて、Chikirinがどのように考え、行動しているのかが分かるようになっています。

後半は「表を知る」ということで、過去のChikirin日記からChikirinを理解できると思われる日記が抜粋されています。

この前半が「裏」、後半が「表」という何気ない構成も面白いと思ったのですが、もともと「裏を知る」編は電子書籍だったのですね。
Amazonで見かけて購入したので、電子本は存在しないと思っていました。もしかすると、電子本は期間限定で公開されていたりしたのかもしれませんが。

Chikirin日記に関してだけでなく、どのブログに関しても、熱心な購読をしないタイプなので、「表を知る」で紹介されていた日記も、読んだことがあるものと読んだことがないものが混ざっていました。

個人的には常にウェブ内のコンテンツはゆるく著者だったり、そのWEBサイトというものに所属はするものの、結局インターネットの世界ではそんな所属情報は昔のブログにおける「タグ」くらいの意味合いでしかなく、コンテンツそのものはインターネットに漂っているようなものだと思っているからです。

もちろん、RSSリーダーなどに登録されているという意味では購読しているのかもしれませんが、僕個人はRSSはWEBサイトのホワイトリストのような存在で、自分が知りたい事は自分が登録しているRSSのサイトの中に答えがあることが多いだろうという想定のもと登録されていたりします。

なので、未読がいくらあろうが、それほど気にしていなかったりします。
とはいえ、Chikirinさんのブログはハッとさせられることも多く、普段使っていなかった部分の脳に刺激が加わる感じで好きですね。

情報のアウトプットに関しては、個人的には反省しないといけないなと感じつつ、結構面白く読むことができました。

[読了]Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルール (Make: Japan Books)

Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルール (Make: Japan Books)Makerの流れに興味を持ち始めたのは3年ほど前になりますが、その前後から各種3Dプリンタが登場し、リアルタイムに人をスキャンしてミニチュアモデルを作ったり、最近では料理もプリントしたり、家のパーツを作って組み立ててみたりと様々な使い方がされはじめたりしています。

今年、面白いなと思ったのがiPhone6用のケース「GRIPPI」ですよね。
もともと3Dプリンタで作ったものがネットで話題になって商品化されたという。

こういう動きが日本で生まれて、凄く面白いなと思った記憶があります。

本書を読んでいて、確かにかつてソフトウェア側で起きていたことがハードウェア側に今起きているんだということを認識できました。それは「無料化」「低価格化」ですね。
ハードウェアもより安く、よりパワフルに、簡単に使えるようになりました。そして、それにともなってイノベーション自体の低価格化も起こっているのです。

ソフトウェアの世界でも、簡単で良いのでプロトタイプを作ることによって説得力が増すように、ハードウェアも素材や機材が低価格化したことによって、プロトタイプを作り、実際に動いている様子を動画などで公開することで、例えばKickstarterやIndigogoなどで資金が集まってきたり、実際にビジネスとしてスタートができたりしている現状があります。

スマートフォンでのカード決済を提供するSquareもその一つ。
プロトタイプ無しでのプレゼンテーションで、一度は投資を断られているという事実は本書で初めて知りました。

日本ではFablabはじめ、物を作ることが出来る共有スペースが実は沢山散らばっていたりします。
私自身、かなり不器用なのでプラモデルレベルでもかなり怪しい訳ですが、何か機械を使うための講座とかに出席するところから接し始めたいと読みながら思いました。

最近は本書でも少しだけ触れられていますが、MITなどでSynthetic Biologyなど、分子とナノテクノロジーの分野が融合し、しかもその新しい分子が自宅の台所レベルの環境で作れてしまうという世界になりました。
もちろん専門の機材が必要な実験の方が多いのでしょうけど。

ハードウェアで構築するよりも、既に存在する分子や微生物をそのまま利用するほうがコストが低いというパターンも出始めているようです。
実際に安くなった機材を使ってモノを作る世界や、実際の微生物を利用して新しい生命構造を作る世界、本当にMakerの流れも一気に進んできていると思います。
Etsyの存在も大きいのかもしれませんが。

逆にこのハードウェア的な流れに対するソフトウェアの進化が今後どう進んでいくのかという事にも非常に興味をそそられます。
ハードウェアの基盤を支えているのはソフトウェアなのですから。
ハードの要求とソフトへの要求。次の世界をどのように作り上げていくか、そして自分がその世界にどう関わっていくのかを再度考える必要がありますね。


[読了]ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?

ソニーはなぜ不動産業を始めたのか? 「公平性」「合理性」「高品質」の3つの基本理念をもとに日本の不動産市場へと乗り出したソニー不動産。

この本を読むまでは、「不動産」というものに対してネガティブなイメージしかなく、また本書内で紹介されている"現状の"不動産取引を見ていても、やはり情報の非対称性を利用した不透明な業界なんだなと、さらに確信しました。

今回ソニー不動産が顧客に対して「感動価値」をどう提供するかを徹底して考え、「消費者目線」と自社の「価値提供能力」を掛けあわせた強みを見出し、それを武器に業界へ切り込んでいく姿は素晴らしいと感じます。

また、企画からサービス開始までの期間が短いということは、当たり前なのかもしれませんが不動産の「売り手」と「買い手」双方に対するメリットを1企業でどう実現できるか?という点を徹底して考えた結果なのだろうと思います。

ソニー不動産が買収した「不動産仲介透明化フォーラム」という会社の事業戦略や運営方法にもヒントがあったのかもしれませんが、起業当初から複数の立場の人に対して事業を展開する、そしてその立場が全く正反対に対立する立場にある状況を、1企業で提供するというのは大変苦労があったのではないかなと思ったりしました。

最終的にはソニー全体の企業グループでの相乗効果を目指すことになりますが、これは楽天でいうポイント経済圏的な、お金の経済圏とは全く反対に体験を軸とした経済圏といいますか、フルライフサポートという点でとても新しい考え方になるかもしれません。
とはいえ、ソニーのような大企業だからこその競争戦略であるとは思いますが。

起業する際に「Full Life Case Use」ということで、ある特定のサービスで起業する場合、そのサービスを事業として、どのようなタイミングで購入されるのか?とか、どういう人が購入してくれるのか?とか、複数の質問によって事業の対象となる顧客や属性を特定するような考え方があります。
恐らくUX的に言えばCustomer Journey Map(CJM)的なものだと言えるかもしれませんが、ソニーグループ全体でCJMを作り出し、一つの経済圏を創りだす凄さという意味では、今後も目を離せません。

東京オリンピック前に一つの成果が見えてくるようですが、やはりソニーグループ1社で経済圏を創りだすということは、ソニー製品を持っていること自体がステータスとなることだったり、デザインのカッコよさなどのブランド力が命になってくるかもしれませんね。

どちらにしろ、ソニーという冠だけでなく「不動産」という言葉自体への印象が日本全体で変わり、一気に突き抜けた存在になるのかもしれないなと予感させる本でした。


ソニーはなぜ不動産業を始めたのか?
日経BP社 (2014-12-20)
売り上げランキング: 1,040

[読了]電通デザイントーク Vol.2

電通デザイントーク Vol.2電通デザイントークのvol.1は読んだことなかったのですが、パッと見て面白そうだったので即買してみましたが、凄く面白かった。

特にAR三兄弟の川田さんの回。
AR三兄弟は名前は前から知っていましたが、特に気にとめていませんでした。今回この本で面白さを知って本当に良かった。

まず面白いと思ったのが、「順番工学」「順番美学」。この言葉は今後使わせてもらおうかなと思います。クリエイター的に「僕の頭にある世界はこの順番で読ませたい」という考え方が「順番美学」、それに対して「こういう順番のほうが伝わらないですか?」と考えていくのが「順番工学」です。

プログラミングは「順番工学」が徹底していて、その順序を逆転したりすることはできません。また編集者やプランニングする人も徹底的に工学的な考え方をしていくわけですが、だからといって「順番美学」が不必要というわけではなく、工学系の人は美学を、美学系の人には工学に触れることで、一つのアイディアが無限に膨らむ可能性があります。
どっちが正しいという問題ではないのです。

最近に始まったことではありませんが、結構思考が凝り固まりがちなので、美学系の理解を少しは深めたいところです(苦笑

そして、次にヒットしたのが「プレゼンのために物事を考えるのではなく、自分が良いなと思ったものを勝手に作ってみる。クライアントありきで考えるより、「この技術はあれに生かせるよな」って順番のほうが絶対に面白いものになります」という部分。

川田さん自身、普段から引き出しを沢山作っていく人のようですが、普段から仕事と直接は関係ないものも自分が良いと思うのであれば勝手に作ってみると。
これは全くダメですね。プログラマーではありませんが、日常の仕事自体が目的化して、その目的を達成することのみに集中しがちです。

昔のGoogleの2割の自由時間という部分に精通するものですが、自分が良いと感じているならば、企画してみたり、プログラマーに相談してみたりと、新しい行動を起こすべきでしょう。

東京オリンピック絡みの話も興味深いですが、「広告を作るために過去の広告を参考にする」という行動パターン、僕もよくやってしまいます。
確かにこの行動って過去の記憶やプロダクトにアンカーされてしまって、そこから大きく外れることが出来なくなるんですよね。

この辺りはWEBの新しい技術なんかを見ながら、「これいいね!」と思った時には、その技術にアンカーされてしまっている可能性が高いという意味では、非常に危険なのかもしれません。
過去の同じものではなく、日常生活で「面白い!」と感じたものを起点にして考える事は、確かに重要だなと今更ながらに感じた次第です。

電通デザイントーク Vol.2
小山薫堂 齋藤精一 川田十夢 中村勇吾 澤本嘉光 阿部光史 飯田昭雄
朝日新聞出版
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[読了]ITナビゲーター2015年版

ITナビゲーター2015年版毎年全体が俯瞰できるという目的でNRIが発行しているITナビゲーターを購入していますが、今年はKindleで購入。

特におもしろいという本ではありませんが、NRIが実施している調査だったり、2020年までの推移をグラフで見れるので、現時点におけるデータと今後の伸び率を見ながら、次の5年を考えてみるのもよいでしょう。

最近はテレビやISPあたりの動きが全然わからなかったので、読んでみて、その辺りの現状を何となく理解できたという点では良かったなと思いました。
ビッグデータまわりに関してはやっぱり個人情報やプライバシーの取り扱い方だよなといった感じで、日常的に触れている情報に関しては、特段真新しさはありませんでした。

今年の10月くらいの内容も登場したりと、結構ギリギリまで本の内容が調整されていて、1冊読めば最新の情報まで分かる、毎年出している良い本だと思います。

[読了]エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする情報過多だけでなく、技術が進むことによって仕事内容も多様となり、いつのまにかタスクのリストに埋もれている。恐らく現在生きる人は程度の差こそあれ、このような状態に陥っていることは間違いありません。

それを本書では「非エッセンシャル思考」という言葉で表しており、それに対する本書のテーマである「エッセンシャル思考」とは「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方を指します。常に「今、自分は正しいことに力を注いでいるか?」と問い続け、常に「選択」します。
選ぶ能力は誰にも奪えない。ただ、本人が手放してしまうだけだ。
とある通り、選ぶ力を無駄にせず、その価値を理解し、大切に実行することを常に重んじることの重要性が本書からは学べます。
そして、そのエッセンシャル思考も中途半端な実践ではなく徹底的で、「絶対にYESだと言い切れないなら、それはすなわちNoである」ということなのです。

経営者だけでなく、一般社員そして仕事だけでなく個人の生活でもとても重要な、この「エッセンシャル思考」。組織で言うならば所謂チームを引っ張る者がそのメンバーに対して示す理想の「WHY」、この部分からエッセンシャル思考は重要であることが本書で分かります。

本書的に言うならばWHYは「本質目標」であるといいます。「本質目標」とは即ち「具体的で、かつ魅力的。大きな意味があり、しかも測定可能」という1文で表されています。
「本質目標」を考える際にキーとなる質問は「たったひとつのことしかできないとしたら、何をするか?」です。
一般的なステートメントではなく、「本質的」という部分にとことんこだわりぬくことが大事です。

そして、その「本質」は「No」という選択肢を与えてくれるのです。
どんどん舞い込んでくる情報や仕事に対し、「No」と言う。それはその本質からズレるものを検知する事、そして「本質」となるチャンスを絶対に逃さないという、選択のタイミングにも影響を及ぼします。

「本質」的な内容も、他のタスクと並列に「YES」と受領され、他のタスクに時間を取られる・・・それが現在の仕事となっている可能性が高いわけです。

上手に「本質的」ではないタスクを削りつつ、「本質的」なタスクを増やす事によって「価値」を増します。これは「編集者」としての役割と似ており、作家のスティーブン・キングの言葉で引用される「大好きなものを殺すんだ。書き手のちっぽけなエゴに満ちた胸が張り裂けたとしても。」という言葉の通り、どんなに思い入れがあっても、どんなに投資をしていたとしても、どんなに時間を割いていたとしても、その思い入れを自分で否定しなければいけないという場合も出てくるでしょう。

どの努力が成果を生み、どの努力がそうではないかについて、私達は常に注意を払う必要があります。そして壁にぶち当たった時に、「どこが本当の問題なのかを見極め」なければならないのです。

[読了]アフォーダンス入門 知性はどこに生まれるか

アフォーダンス入門 知性はどこに生まれるか (講談社学術文庫)
WEBの世界にいるとどうしてもノーマンのアフォーダンス概念に支配されます。それはそれで、もちろん重要なのですが、一旦ギブソンが提唱した当初の「アフォーダンス」理論に触れてみようということで、有名な佐々木さんの本を手にとってみました。

アフォーダンスといえば、ドアノブの例はよく話に出る内容です。例えばドアノブの付いたドアをパッと見た場合、そのドアを押したら開くのか引いたら開くのかが分かりにくいという状態を「アフォーダンスが悪い」という言い方をしたり、WEBサイトで言えばクリックできるボタンなのか、ただの装飾としてのボタンなのかが分からないとしたら、それも「アフォーダンスが悪い」と言えるでしょうが、それはノーマン的なアフォーダンスの概念で、ギブソンの言うアフォーダンスは、もっと広い意味で使われます。

ひとことで言うと本書内では「環境が動物に提供するもの、用意したり備えたりするもの」と説明されますが、この一言だと何ぞや?という感じですよね。

そしてこうも説明されています。「個々のアフォーダンスは、ある個体がいつか環境にそれを発見しなければあらわにならない」ものであると。
アフォーダンスとは環境の中に潜在的に存在しており、顕在化していないものだという事ができます。

即ち、あるものを引っ張ったり、叩いてみたり、触ったりといった「行為」によって潜在的なアフォーダンスが顕在化し、発見することができるというわけです。
そのため、アフォーダンスとして何を発見するかは、その手前の行動・行為によって変わってくることになります。

一方で「行為」とは何だろう・・・と考えてみると、例えば棒を使って高飛びをするといった場合に、その棒の強度を確かめようとする「行為」として、アフォーダンスを発見するために棒を振り回してみるというような「行為」が発生します。従って「行為」を促しているものもまた「アフォーダンス」である。と説明されます。

本書をさらっと読むことも出来るのですが、こういう部分、実は非常に難しいですよね。

この「アフォーダンス」から促される「行為」というものは、五感などによる知覚によって「予期する情報」を作り出すことによって、発現するものです。

即ち、先ほどの例で言えば"この棒を使えば高く飛べるのではないか?"のような「予期する情報」を作り出し、その結果、「行為」として"棒を振り回す"というものが生まれ、その結果、その「棒」のアフォーダンスとして「強度」を得る。といったような。

本書では哲学で言うところの「間主観性」、即ち経験していない他人にも理解することが出来るという意味で「アフォーダンス」は客観性を持つと説明されているのですが、この部分はどうも納得が出来ませんでした。

「予期する情報」≠「アフォーダンス」だと思うからです。
「予期する情報」は過去の経験や知覚情報から導き出されるもので、本当の「アフォーダンス」ではありません。"自己が作り出したアフォーダンス"と言えるのではないかと思うのです。

では「間主観性」とは何かを考えた場合、"自己が体験したアフォーダンス"を他者に伝えることによって、他者の「予期する情報」が書き換わるということではないかと思います。「アフォーダンス」自体には客観性を持っていように実感しますが、それは「顕在化した意味」という意味においては「アフォーダンス」が客観性を持っているようにも思えますが、あくまで「予期する情報」以外の何者でもないのかなと考えたりしました。

人だけでなく動物も植物もアフォーダンスを発見しながら行動が変化するわけですが、全く影響を受けていない状態で発現する行動の事は「ブルート・ファクツ」と呼びます。
基本的には本書内で記述されている「ブルート・ファクツ」の考え方には納得がいったのですが、人間に関する「ブルート・ファクツ」には、これまた納得が出来ませんでした。

植物における「ブルート・ファクツ」で、発芽から成長する過程において、常に茎などが旋回しながら成長していくという行動は、全植物(?)の共通行動であるため、「ブルート・ファクツ」であるといえますが、人間の例で「リーチング」という幼児の行為が示されていますが、個体差が生まれている以上、それは「ブルート・ファクツ」ではないのではないかと思ったわけです。

まだ正確に理解出来ていない部分が多々ありますが、所謂ギブソンの言うアフォーダンスをAIが実現する事は非常に難しそうだなという印象も持ちました。
所謂ビッグデータにおいて、数多くのIoTデータがAIにどんどん取り込まれた場合、それを無視したり行動をしたりと切り分ける必要がある。アフォーダンスを発見する行為でも一部は難しいのかもしれない。例えば、ある台に乗っても、その台が壊れないかどうかを確かめるとか、出来ないことはないと思いますが、「予期する情報」をどこまで構築することが出来るのか、それは条件付けを大量に組み合わせることで実現できるのでしょうか?

本書で結構気付かされる部分があったので、とても良い本ではないかと思います。
僕の理解、あってるのかな?


[読了]デザインコンサルタントの仕事術

デザインコンサルタントの仕事術所謂、サービスデザインやデザインシンキングとかと言われているモノを部分的に紹介しているような印象でした。

新しいサービスを作り出す部分に関しては、強制発想法が推奨されているなという印象。
「コンサルタント」というキーワードがタイトルに付いている事からも分かるように、新しいサービスをデザインするプロセスから、それをプレゼンするまでの一通りの流れが網羅されているという点ではとても良い本だと思います。

本書の最後にステップがまとめられており、個人的にはデザインシンキングを少しかじっている分、最後のまとめがあればイイかな?という印象に留まりました。

[読書中]検索エンジン自作入門~手を動かしながら見渡す検索の舞台裏

検索エンジン自作入門~手を動かしながら見渡す検索の舞台裏検索エンジンの転置インデックスなどは、ざっくりとした内容は簡単に知っていたのですが、さすがに文系人間には第1章を復習がてら読むので、まずは一息いれました。

第2章以降は自分で環境を構築したら・・・という事で保留します。
自分が情けないな。

最近はFPGAとか、検索・AI界隈もだいぶ熱くなってきていますので、自分がどのポジションで何を生み出していくのか。再検討です。

[読了]多眼思考

多眼思考いい意味で期待を裏切られました(笑
「社会派ブロガー」という枕詞が毎回付く、「ちきりん」さんのTwitter集です。

「ちきりん」さんが今まで140字という文字数制限の中で呟かれた、社会や教育、仕事、生き方、時事ネタなどについて、各カテゴリでまとめられた本です。

自分で自分の呟いたTweetをまとめるというセルフTogetter本といえば良いのでしょうかね?フロー情報をあえてストック情報化する事って、結構需要はあるのかもしれませんね(笑

でも、短い中にも刺さる言葉が沢山詰まっていて、もう一度自分を見つめなおすきっかけになりました。サクッと読めるし良い本だと思います。

一方で、がっつり「ちきりん」さんの思想・考え方を知るには別の本やブログを読むのが一番だと思います。

[読了]あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?

あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?医療の現場から社会を変えていく。その手段としての「ビジネス」の効用と、日本の医療制度について疑問をなげかける本で、素晴らしい主張だと思います。

北原先生のいう「医療」とは
自分以外の誰かを幸せにしているのだとしたら、その仕事は「医療」だといえます。
と主張されています。その誰かを幸せにする行為とは本質的に「経済」の原則にも合致しているとともに、接客業なども広義の「医療」と言えます。

また他の場所では「医療」をこう定義しています
「いかによく生き、いかによく死ぬか」を総合的にバックアップすること、つまり幸せな人生を支援する総合生活産業
学生時代にあたかも「白い巨塔」のような医者達の姿を見たり、病院にある医院長専用駐車場に置かれている高級車を見たり、授業にもちゃんと参加できない医学部生をチラホラ見かけたりしている分、医者とはやっぱり「お金」&「世襲制」的な側面が強いと感じていました。

しかし、北原先生の常に常識を疑い、疑問を投げかけ、「利他」で行動している姿は、普通にビジネスマンとしての姿が見えてきます。

終章では北原先生の思いが強く出ています。少し引用するならば、世の中でいちばん強い人間とは
利己的な「やりたいこと=欲」ではなく、利他としての「やらねばならないこと=使命」に生きる人間
と主張されています。
また、自分の理想、自分の夢、自分の結論を、ひたすら語り続けることによって
必ず人の心が動きます。人の心が動けば、社会が動きます。 (中略)反対されたり、笑われたりするのを覚悟で言葉にするからこそ、志をともにする仲間が現れ、実現していくのです。
という記述には熱い思いを感じます。
医療という現場に留まらず、ビジネスマンなら一度は目を通しておきたい本でした。


あなたの仕事は「誰を」幸せにするか?
ダイヤモンド社 (2014-09-08)
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[読了]世界でもっとも強力な9のアルゴリズム

世界でもっとも強力な9のアルゴリズムこの本は「パソコン」を利用する人で、かつオンラインで何か仕事をしている人、かつプログラマーではない人に一度は目を通してもらいたい本です。

「アルゴリズム」に注目して、どのように研究者たちが数々の問題点に対して、新しいアルゴリズムを発明し、パソコンだけでなくインターネットの世界を変革してきたかが凄く分かりやすく記述されています。

最初の章で説明されている検索エンジンのIndexの仕組みとランキングの仕組みについて、古い知識ではあるものの非常に重要な概念が書かれており、小難しく説明されがちなランダムサーフィンモデルも非常に分かりやすく解説されています。所謂もともとのページランクの概念ですね。

過去の歴史を知ることで、その延長線上にある現在を再度認識することができます。
暗号化、データベースのレプリケーションやデータの整合性チェック、その他数々のアルゴリズムが登場します。

実際に運用されているアルゴリズムは非常に複雑化されていますが、本書では四則計算などで理解できるように、ベースとなる概念の説明に努めています。
言葉だけ走っているけれども、結局どういう動きをしているのだろうか?とか少し疑問に思っていた事が理解できた気がします。

今インターネットへつながる人やモノは爆発的に増加し、それに伴い発展途上の「インターネット」という仕組みに関しても、当初予想できなかったプライバシーなどのサードレール問題やセキュリティ、その他、国によって発生する宗教や言論などの問題など、様々な問題を抱えています。

W3CではOpen Web Platformということで、以下の8つの分野から議論を重ねていこうという動きがあります。
  • Security and Privacy
  • Core Web Design and Development
  • Device Interaction
  • Application Lifecycle
  • Media and Real-Time Communications
  • Performance and Tuning
  • Usability and Accessibility
  • Services
W3Cという集合体が現在もラフコンセンサスで動いているのかどうかは知らないのですが、できうる限り企業体や国家などからの干渉を受けない状態で様々な決定がされていってもらいたいと感じます。

そしてインターネットへ参加する人が増えれば増えるほど、インターネットに参加する人のDivergenceが増し、所謂Heterogeneousからもたらされるイノベーションが増加するでしょう。
本書で予測されている以上に、二次関数的に新しいアルゴリズムが生まれ、広まっていく可能性が強まると予想されます。

最近のインターネットに関し、少しだけ妄想的に考えているのは、インターネットにおけるデザインとテキストの完全分離です。
昨今マーケティングオートメーションという言葉が広く使われておりますが、その中でユーザー一人ひとりに対し、バナーなどのコンテンツを変化させるというものがあります。
最近見たのがAdobeのAutomated Personalizationですが、これなんかを見ているとデザインとコンテンツの完全分離が妄想だと感じていたのに、すでに現実になりつつあるなと感じたりします。

僕の言う完全分離とはコンテンツそのものが、例えばJSON等で提供されるだけで、それをフロント側へどう描画するかはデザイン部門で制作するといった、HTMLそのものに対する変革といいますか、廃止といいますか。
いやたぶんコンテンツの描画という意味においてHTMLというものは無くならないのかもしれません。しかし、今のように不完全なHTMLソースによってブラウザが背負っているエラー処理の数々を考えるならば、ストレス無くインターネットを回遊させるという事自体に悪影響をもたらしている事は間違いないでしょう。

また、IoT的な世界においては、ほとんどがJSONのようなデータのやり取りが成され、そこに大小様々なネットワークが構築されていくでしょう。
そう考えると、IoTからもたらされるデータを使ってフロントで何かを動かしたり表示したり・・・と考えるならば完全にデザインとコンテンツは分離して管理を行っていく方が理にかなっていないかな?と感じたりします。

いや、むしろ既にJSONファイルを使ってコンテンツを生成していたり、グラフを表示していたりということは日常茶飯事に行われているわけですが、部分部分の採用ではなく完全に分離してしまうという感じです。

と大幅に本書の感想からはズレるわけですが、次どんなアルゴリズムを開発して、どのようにインターネット、そして社会へと貢献できるでしょうか?

世界でもっとも強力な9のアルゴリズム
ジョン・マコーミック
日経BP社
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[読了]クラウドからAIへ

クラウドからAIへ
再びAI本ですが、最近感じている事としては、過去にあった人工知能の流行と失敗は、人間の脳の低評価が根底にあるのではないか?と思ったりしています。

コンピュータの計算能力や記憶(記録)能力、そしてプログラミング技術に対する高評価によって、SFの世界だと思われていたAI技術は実現されうると考えられていたのではないかと思います。ルールベースAIで実現可能であると。

そういう意味では現在AIが再び流行り始めているのは、ある程度人間の脳の高機能さを理解したうえで、また全脳コンピューティングとして、人間の脳の超並列処理などを機能的に役割などを理解したうえで、着手しているという点で、もしかすると実現可能性は高まっているのかもしれません。

SF的なAIは所謂「強いAI」を指す事が多いと思いますが、今現在の広告だけでなくマーケティングオートメーションで、少ない情報からユーザーをプロファイリングし、ユーザーを育てる過程にはAI技術が欠かせないのではないかと考えています。

実際の計算や概念はまだ分かりませんが、本書で出てきた「sparse coding」というもの、即ち少ない情報から全体を推測することは出来るのでしょうか?
心理学のゲシュタルトと同じ考え方なのかどうかはわかりませんが、本書からも学ぶことが多かったです。

強いAIや軍事利用、マイナス面についてはAI本には必ず記載されている事なので、ちゃんと考えていなければイケない事は間違いありませんね。


クラウドからAIへ
朝日新聞出版 (2013-07-18)
売り上げランキング: 410